平成24年の自民憲法改正草案は正しく怪しいものである。⇒その3 前文解釈②
草案の「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、」は、此れ又、痴劣な文書であって、此処での「戴く」は「頭の上にのせてもつ 」との意味であり、天皇象徴説支持者からしても軽く安っぽい表現である。如何しても、此の様な文言を現憲法前文前段に付け加えたいならば、せめて、
「日本国建国以来、我等は悠久の歴史を積んで日本に独自の精神文化と伝統とを築いて来たなかで、我等は天皇を民族統合の威光として絶やすことなく崇めて来たのであり、我等は此れを永久に護り続ける決意である。 」
くらいに、修正すべきである。
憲法全文のこの前段では
「諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と謳われており、「戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」をするには、「諸国民との協和による成果」と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保」し、「政府の行為によつて 」戦争を起こさないと言う三つの条件を前提としている。
逆説から言えば、戦争の惨禍は、「諸国民に平和の秩序を乱す行為」があったり、「わが国民の自由の恵沢を確保を犯す行為」があったり、「我が国自身が戦争を仕掛けたりする行為 」をすれば避けられるものでないとしているのだ。⇒このように、前文の前段では、わが国は戦争を完全に放棄したものではなく、戦争を起こさないようにするには、わが国が三つの前提条件を造り出す努力をすべきと宣言しているのだ。
続く。
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