私の子

昨日は、アルゼンチンタンゴの夜のレッスンに行く気満々でしたが
夕方に予定していた、さっちゃんの歯科検診に、とても時間が掛かってしまい
遅れるくらいなら行くのはやめようと、結局休んでしまいました。
今週は、真面目にレッスンに通うぞと意気込んでいたくせに
その数時間後にレッスンを休んでしまうとは、情けない。
でも、途中からレッスンに出るのは、先生に失礼だし、そもそも中途半端だし。
それに、ぎっくり腰のためには、休んだほうが良かったような気もするし。
なんて、言い訳ばっかりだ。

昨日の、さっちゃんの歯科検診の待ち時間が、結構長かったので
私は雑誌でも読んでいようと、待合室に置いてある雑誌の棚の中から
壇蜜が表紙の、写真週刊誌を手に取りました。

　　　　ひょい

私の隣に座っていたさっちゃんが、私が手の雑誌を、横から奪い取りました。
「返してよ」
無視。
私は、雑誌の端を軽く引っ張りました。
「それ、お母さんが見るんだから、返してよ」
さっちゃんは、聞こえない振りをして、完全無視です。
「お母さん、壇蜜が見たいんだから、返してよ」
やっぱり、無視。
さっちゃんは、偶然なのか、それとも好奇心によるものなのか
壇蜜のページを、熟視しています。

私は、雑誌の棚の中から、お料理雑誌を選び、手に取りました。
「これ、美味しそうな写真がいっぱいだよ
　この本とその本を、取り替えようよ」
私が、美味しそうなお料理の本を、目の前でぱらぱらとめくっても
さっちゃんは、見向きもせず
「これ、みる」
と、たったひと言、たった四文字だけ呟きました。

もしかしたら、この子も好きなのかしら。壇蜜。
私の子だもの、壇蜜に遺伝子がざわめいても仕方がないのかも。

「ふーんだ、いいもーん！
　意地悪さっちゃんなんか、嫌いだもん」
稚拙な方法で挑発してみましたが、やっぱり無視。
無視というか、お地蔵さんになっちゃったのね。
壇蜜の撮り下ろしエロスを眺めながら。
この、エロ地蔵め。

っていうか、歯医者さんの待合室で、一体何をやっているんだ、私たちは。