少女が問う日米同盟絶対政治
「私たちに、静かな沖縄を返してください。軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返してください」―1995年、沖縄県で起きた少女暴行事件に抗議する県民総決起大会での高校生の発言です。
■許されぬ暴行事件
あれから約30年たっても、基地被害はいっこうになくなりません。そればかりか、日本政府や捜査機関による事件の隠ぺいという事態まで起きています。
昨年12月24日の夕方、嘉手納基地所属の米空軍兵(25)が、公園にいた16歳未満の少女に声をかけ、わいせつ目的で基地外の自宅に連れ去り、性的暴行を犯しました。クリスマスイブのこの日、少女は帰宅後に泣いて被害を訴え、母親が110番通報しました。
那覇地方裁判所は13日、無罪を主張してきた被告の米兵に、懲役5年(求刑7年)の有罪判決を言い渡しました。
公判で被害者の少女は、自分の年齢を米兵に伝えていたことや、「やめて」「ストップ」と暴行を拒否したことなど恐怖の体験を証言しました。犯人の米兵がついたて越しにいる中、少女は「自分が犯してしまった罪の重大さを分かってほしい」と絞り出すように訴えたといいます。判決につながった少女の勇気ある証言にこたえて、これ以上の基地被害を許さないと行動で示すときです。
95年の少女暴行事件を受け、在日米軍による事件・事故が地域に及ぼす影響を最小限にするための通報制度が、97年に日米で合意されました。そこには、事件・事故発生情報を「日本側関係当局及び地域社会に対して正確にかつ直ちに提供することが重要である」とあります。
しかし、今回の事件をめぐり、政府は事実を隠し、沖縄県に伝えていません。県が知ったのは、事件から半年後の6月、地元メディアの報道でした。県による被害者への包括的なケアや米軍への抗議・要請もできない中、少女や家族がさらに傷つき、隠ぺい期間中に他の米兵による性的暴行事件が繰り返されたのです。
政府は事件4日後の昨年12月28日、建設に反対する民意に背き、辺野古新基地建設のために必要な設計変更を県に代わって承認する「代執行」を強行しました。もし事件直後、または3月の書類送検や起訴段階で事件が明らかになっていれば、基地強化反対の県民の怒りは沸騰し、「代執行」は困難になり、6月の県議選の結果にも大きく影響していたでしょう。
■全国からの連帯を
いま、「戦争する国」づくりのもと、全国各地で米軍事故、犯罪への不安がひろがっており、沖縄だけの問題ではありません。基地被害をなくすには、米軍特権を保障する日米地位協定の抜本改定が必要です。日米同盟を優先し、国民の人権を蹂躙(じゅうりん)する政治は終わらせなければなりません。
22日、沖縄市民会館で、事件に抗議し再発防止を求める県民大会が開催されます。チラシは「なかったことにしないで!!」と呼びかけています。全国革新懇と安保破棄中央実行委員会は、県民大会に連帯する行動を呼びかけています。米軍犯罪の根絶に向けて全国から声をあげましょう。
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