NHK経営委 「画期的和解」原告に笑顔
NHK経営委員会(古賀信行委員長)は18日、かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHK番組(2018年4月放送)をめぐり、経営委員会が当時の上田良一会長を「厳重注意」した議事録をNHKホームページに公表しました。経営委員の個別番組への干渉を禁じる放送法32条違反が指摘されていました。
市民グループが公表を求めてNHKと森下俊三前経営委員長を訴えていた裁判が17日、東京高裁で和解したため。森下氏は原告に計98万円を支払います。原告と弁護団は17日夜の報告集会で「画期的な和解だ」と笑顔を見せました。
公表したのは、18年10月9日、23日、11月13日の3回の経営委員会議事録の未公表部分。森下氏(当時経営委員長代行)は、報道に激怒した郵政グループの意を受け、不正販売を報じた番組に対し「インターネットだけで取材」「取材はほとんどしていない」と事実と異なる批判を展開。石原進経営委員長(当時)とともに上田会長を「厳しく伝え注意」しました。上田会長は、外部の圧力で個別番組を批判するなら「NHKとして存亡の危機に立たされかねない」と反論しましたが、経営委員会側は聞く耳を持ちませんでした。
原告弁護団の澤藤大河弁護士は17日の記者会見で、訴訟の目標は議事録の公表と隠ぺいした森下氏の責任の明確化だったと説明。「原告らの熱意ある取り組みが原動力となって裁判所に問題意識を喚起させ、両者をともに実現する和解となった」と高く評価しました。
報告集会で杉浦ひとみ弁護士は「NHK番組への干渉を許してはおけない。私たち原告団の熱意が裁判官の心を動かしたと思う。他のメディアは他山の石としてほしい」と指摘。事務局長の長井暁さん(ジャーナリスト)は「議事録は(放送法41条で)公開されなければならなかった。中には32条違反にかかわる発言もある。経営委員は国会の同意を得て総理大臣が任命する。(与野党逆転の衆院で)今後どういう人物を任命していくのかが問われている」と語りました。
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