更新料の事件について、最高裁での弁論が開かれるようですね。
<賃貸マンション>更新料訴訟3件、統一判断へ 最高裁
毎日新聞 3月4日(金)19時43分配信(yahooニュース)
「賃貸マンションの更新料を徴収する契約が消費者契約法に反するかどうかが争われ、高裁段階の判断が分かれた3件の訴訟で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は、借り主と貸主側の双方から意見を聞く弁論を6月10日に一括して行うことを決めた。弁論を経て判決で統一判断を示すことになる。」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110304-00000066-mai-soci
まず一般に最高裁に上告ないし上告受理申立がなされても、最高裁は、それを門前払いすることがほとんどです。上告ないし上告受理申立がなされても、最高裁が判断するような重要な問題でなければ取り上げないのです。
取り上げても、必ず、結論が変わるというわけではないです。とりわけ、今回のように、高裁の判断が分かれている場合は、最高裁としてはどちらかの結論をとるので、どちらかだけ変更ということもあります。
さて、問題の中身ですが、これまで賃貸借契約では更新料という話しが当たり前のようになっていましたが、今回の訴訟は、それをとること自体が消費者契約法に反するのではないかという争いです。(なお、更新料の条項がない場合でも支払要求されるケースもありますが、今回は条項があっても、それは無効なのではないかという話しです。)
更新料をとることが違法であるかどうかという話しは、やはり、これまで、更新料は賃貸借契約の関係において、それなりの地位を築いてきています。
たとえば、それを払わない場合債務不履行によって賃貸借契約を解除できるという判例もでています。
また、上記ニュースによれば、現状では、「更新料が設定されているマンションは全国で100万戸以上とされる。国土交通省の10年の調査では、全国の貸主の23.5%が採用している。」とのことです。
この状況で、違法の判断は実際上難しいのではないかと思います。違法の判断をするとしても、当該賃貸借関係における他の条項との関係で(契約当初の礼金、保証金等の償却などの他の条項とのバランス)のみ、違法の余地を認めるのがせいいっぱいのような気がします。なので、そのあたりを指摘して、原審に差し戻しか、違法ではないとの判断をするかというところでしょうか・・・
この問題って、一般に社会的に弱い立場の方を保護する局面の話しなのですが、実際のところ、これは景気にも大きく左右される話しだと思います。
借地借家法、消費者契約法、労働基準法などは、社会的に不利な立場に立つ者の保護という観点からその保護を強めていますが、実際のところ不景気によって、家主、業者、使用者も弱ってきているのです。
こうした状況で、不利な立場の人を国がどこまで応援するかという問題です。
応援しすぎると家主、業者、使用者がつぶれてしまうので、素直に考えれば実際上借主、消費者、労働者は、家に住めなくなったり、物やサービスが受けられなくなったり、仕事がなくなったりとするので、もっとひどい状況になります。
つぶれない配慮をしつつ、どこにそのラインをおくかという話しなんでしょうけどね・・・・