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プライマリーバランス(基礎的財政収支)とは、税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標となっています。(財務省)
これを2025年度に黒字にしようというのが政府の目標である。この目標達成のための緊縮財政がいかに無意味かつ有害なものかは散々指摘してきた。
今回はG7諸国のプライマリーバランスはどうなっているかを調べてみた。
下図はG7諸国のプライマリーバランスが名目GDPに占める割合をグラフ化したものだ。
これもコロナによる攪乱を除くため2019年までとした。
ちなみに2019年の各国の数値は以下のようになっている。
ドイツ 3.6%
イタリア 2.7%
カナダ 1.4%
イギリス -2.2%
日本 -2.5%
フランス -3.2%
アメリカ -8.7%
見てとれるのは
- フランスを除けば、前回指摘した「新自由主義諸国」がおしなべて赤字となっていること
- 日本は、長期停滞の泥沼から抜け出せず、財政は硬直化しメリハリの利いた機動的財政運営は夢のまた夢となっていること である。
財政規模が大きいことはプライマリーバランス赤字を意味せず、むしろその逆の可能性が高いことがお分かりいただけるだろうか。
プライマリーバランス黒字化を目指すなら一般政府の財政を拡大するべきなのではないだろうか、という何とも逆説的な話となる。が、ここまでケインズの一般理論にお付き合いいただいた読者諸賢には自明のことであろう。
次回は、日本の「財政規律」について取り上げる。次世代に未来を残すには何とかしないといけない厄介な代物である。