よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

政府の財政を考える ⑩ 一国レベルで経済を考える 資金循環統計

2024年01月12日 | 先進国の経済学
*≪中央政府(いわゆる政府)+地方政府(地方自治体)+社会保障基金≫を連結したものを「一般政府」と呼ぶ。以下「政府」と呼称する。

 日本銀行は四半期ごとに資金循環統計を発表している。2023年12月20日に第3四半期のものが公表された。ここではその中の部門別の金融資産・負債残高をもとに議論を進める。日本の一国レベルでの貸借対照表のようなものだ。ただし固定資産は含まず金融資産のみである。



 
 この図の一般政府のさらに中の中央政府のみを議論しているのが、「府の財政再建」問題だ。

 各部門の純資産(純負債)をグラフにしてみた。


 
 企業部門の右側は上場株式を表している。上場株式は有利子負債ではないからこれを除くと98兆円ほどの純資産を抱えていることになる。

 一目瞭然、日本一国での金融純資産は942兆円に上る。これに対して一般政府の負債は612兆円に過ぎない。これでもし政府が負債を償却してしまえば、1600兆円ほどの金融純資産が、純資産ということは余剰資金が、出ることになる。本ブログでは何回も言っているが消費や投資に回されなかった資金は、ただの紙切れだ。

 さらに言えばこの余剰資金の発生によって日本経済は長期停滞を続けているということでもある。

 長期停滞の原因は余剰資金を政府が吸収せず、それどころが自身もPB達成という黒字化をめざしたことにある。

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