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*≪中央政府(いわゆる政府)+地方政府(地方自治体)+社会保障基金≫を連結したものを「一般政府」と呼ぶ。以下「政府」と呼称する。
一般理論を読む改訂版
第7章 貯蓄と投資の意味―続論 (人々は使われなかった貯蓄の分だけ貧しくなる)
財源のはなしの前提として、一国レベルで見た場合、政府の赤字はどのように位置づけられるのかを見てみよう。
2000年を境に家計が貧しくなったので貯蓄できなくなり、対称的に企業の貯蓄が増えている。1997年まで政府は黒字だったが、赤字が恒常化していく。しかし・・・
三部門を統合した一国の純貯蓄(貯蓄―負債)は以下のようになっている。7年ごとに特徴があり上の数字はその7年の平均である。
総括表にすると以下のとおりだ。
2008~2014の間に日本はリーマン危機と東日本大震災という二度の危機に見舞われた。三部門統合の貯蓄もマイナスとなる。「悪夢のような民主党政権」と言っていた元首相がいたが、完全に間違っている。悪夢のような時代に民主党が政権を担当したのだ。
それはさておき、先進国においては、政府の赤字は民間部門(家計+企業)の貯蓄の裏返しである。1997年まで企業は負債部門であった。家計の貯蓄を企業が借り受けさらに設備投資を行っていた。そのために賃金も上昇し、家計も潤い、企業の利益も上昇するという循環が回っていたのである。ちなみに日本人の賃金水準は1997年に戦後最高の水準に到達し、その水準にいまだに追い付いていない。
この時期、政府は資金不足に陥ってはいない。特に日本においては、家計の貯蓄性向が高いために、家計の貯蓄を企業が吸収するというのが「正常な」資金の流れであり、その正常な流れが続いている間は経済成長が続けられる。
しかし、経済が成長し成熟すればするほど、限界消費性向低下と有効需要の原理によって経済は停滞し、資金の余剰が発生するというのが一般理論の主張だった。
- 企業の内部留保が積み上がっている
- 家計の貯蓄が逓減している
- 政府の債務が累積している
これは経済の停滞の原因として指摘されている現象だが、その奥には一般理論が指摘する先進国特有の性質があるのだ。
先進国では、必然的に余剰資金が発生する。それを原資に社会保障の充実を進めていかないと経済は停滞し、社会が貧しくなる、という性質である。