よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

経団連亡国論 企業 “栄えて” 国滅ぶー企業が「貯蓄」してどうする

2023年07月18日 | 日本経済を読む
主要三部門(家計・企業・政府)の貯蓄の推移を追ってみよう

 国民経済計算(SNA)をもとに主要三部門の資産の移動を追う。
 この項で言う貯蓄とは実物ベース(資本)としての純貯蓄であり、預貯金のことではない。
 純貯蓄は、
 固定資本形成―固定資本減耗+在庫変動+土地の購入+金融資産(負債)増減―資本利得/損失として前年比が計算される。
 前年比だから固定資本形成と固定資本減耗を除く全ての項目はマイナスになり得る。土地の売却はマイナスとなる。金融負債の増加もマイナスとなる。企業会計で言う貸借対照表上の自己資本にあたると考えて、そう大きな間違いはない。


 
 一見して分かるように、家計は貯蓄を減らし政府の債務が膨脹する一方で、企業が貯蓄を増やしていっている。2019年以降はコロナ禍の影響で家計は消費を控えさらに2020年には政府から12兆円の所得移転があったため貯蓄が増えているように見える。

 この三部門をまとめたものが次の図となる。
 


 2001年から2018年まで一国の貯蓄の増加要因はほぼ企業部門によるものといっていい。その結果一国全体としては徐々に徐々に貯蓄ができなくなっている。

 これがタイトルに掲げた 「企業 ”栄えて” 国滅ぶ」という事態である。
 
 しかし、企業が自己資本を増やしている状況を「企業栄えて」と言っていいものだろうか?企業の目的は利潤の最大化である。そのためには投資が必要であり投資の最終目的は消費需要なのではないか。

 次回、貯蓄の内実を分析する。

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