まだ木造の古い田舎家に住んでいた少年の頃(昭和二十五年に朝鮮動乱があった)、私の母は畑仕事をしながら、ささやかな養鶏を営んでいて、野菜や穀物を煮込んだ水気のある餌に麬を混ぜ、堅く捏ねてえさ箱に与えるのが私の仕事だった。
母は卵から雛を人工孵化させ、初生雛の雌雄鑑別まで行った。ニワトリは成体では雌雄の別が明確だが、初生雛の場合は、「初生雛鑑別師」の資格があるくらいだから、普通の人にとって鑑別は困難である。母は何も資格を持っていなかったが、鑑別のコツを知っていたのだろう。
我が家の庭に餌を求めて飛来する小鳥たちも、一般的に雌雄の区別が難しいものが多いが、シジュウカラ(写真は2月26日に女房が撮影)の場合は明確な特徴がある。「喉・胸・腹を通って下尾筒に達する太くて黒い縦線がある」(五百沢日丸/解説、山形則男・吉野俊幸/写真「日本の鳥550 山野の鳥」増補改訂版、文一総合出版)のが雄で、特に腹部下部で太くなるのに対して、喉から下の縦線が細く下尾筒で薄くなっているのが雌である。餌はもっぱらヒマワリの種で、第二給餌箱で種を銜えて即座に気に入りの樹木の枝に移り、両足で押さえ嘴で突いて中身を食する。
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