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今日の筆洗

2021年10月05日 | Weblog

 自分の方が年も上。落語の道に入ったのも自分の方が五年も早い。実力にも自信がある。それなのに後から入った若造が先に真打ちに昇進する。抜かれた落語家は納得できなかった。若き日の立川談志さんである。談志さんを追い抜いたのはライバルの古今亭志ん朝さん▼早過ぎる昇進は父親の志ん生さんのおかげではないか。そう疑った談志さんは志ん朝さんに昇進を辞退するよう迫ったそうだ。志ん朝さんも負けてはいない。辞退を断り「私は自分の実力で真打ちになったんです」▼政治家の初入閣は噺(はなし)家の真打ち昇進に似ているかもしれぬ。衆院でいえば当選を五回、六回と重ね、党内や国会での地味な仕事をこなし、やっと初入閣の声がかかるのが普通である。岸田内閣の閣僚名簿にへえと思う。当選三回の若手が三人も入閣。あまり聞いたことがない▼長幼の序を重んじる自民党の各派である。政治家でいえば駆け出し扱いの当選三回生を推薦するとは考えにくく岸田さんのお見立てによる初入閣だろう▼実力があれば当選回数も経歴も無関係。激変期に対応するには当然のことだが、思い切った人選といえる。自民党も少しは変わったか▼無論、肝心なのは今後のお三人の仕事。買われた実力を発揮しなければ抜かれた政治家は談志さん以上に腹を立てるし、当選回数だけがものをいう昔ながらの組閣にまた逆戻りである。