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今日の筆洗

2021年10月16日 | Weblog

一九〇一年の正月、報知新聞が「二十世紀の予言」を掲載した。二十数項目の中には、東京と神戸を二時間半で結ぶ列車やエアコン、ファクス、電子メールのような機械、技術の登場など的中と思わせる見事な予言が多く、二十世紀の終わりごろ、驚きとともに話題になった▼獣との自由な会話など、外れもある。天災をひと月前に予測し、大砲を撃って暴風を防ぐというのもあった。当時から防災への切実な願いが存在していたのだろう。残念ながら現実は予言ほど進んではいない▼果たされなかったその予言をいつの日にか、現実のものにしてくれるのではないか。今月、横浜国立大に設置された台風科学技術研究センターには、そんな期待もしたくなる。台風に関連するさまざまな分野の第一線の専門家らが力を合わせ、防災、減災を目指す。日本初の台風専門の研究機関という▼メカニズムに謎も多い台風を詳しく観測し、データを解析する。高精度の予測もテーマであるという。大砲ではなく、上空から投下する氷などで、勢力を弱める研究をしている方もいるそうだ▼風力を発電に利用する研究もある。前世紀は、数千人の命を奪う台風が列島を襲った。今は凶暴化が恐れられている。切実な思いは変わらない▼時間はかかるのだろうが、予言に応えるような二十一世紀の画期的な成果が報じられる日が来るかもしれない。