「マカートニーとレノン リーダーが仲間割れ」。五十一年前の新聞を探すと、そんな見出しの記事が、全国紙に小さく載っていた。ビートルズの主要メンバーである二人が、意見の相違によって、決定的にたもとを分かったという英紙の報道を伝えている▼世界一有名なバンドが、法的に正式な解散をするのは、その約五年後らしいが、通常は、かの「仲間割れ」の年が解散の年とされている▼半世紀の沈黙を破るかのように、ポール・マッカートニーさんがその「仲間割れ」の内実について口を開いた。英BBC放送に語ったという。自分がきっかけという説を否定し、ジョン・レノンが望んだからとしたそうだ▼解散の理由をめぐっては、レノンと結婚したオノ・ヨーコさんが原因という見方をはじめ、多くの説が語られてきた。マッカートニーさんはレノンがオノさんと新しい生活を始めていたことを指摘しつつ、オノさんに責任はないとした▼五十年以上過ぎるのに、解散の詳細な経緯に関心が集まるバンドも他にないだろう。どこかで成り行きが異なっていたなら、多くの人の宝物になるはずのもう何曲か、何枚かが残されていたかも。そんな想像ができるからでもあろうか▼続いていた可能性と続けたかったという願望をマッカートニーさんも語ったそうだ。あったかもしれない続きを思い、聞くのもいいかもしれない。