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今日の筆洗

2022年04月13日 | Weblog
暖かい日が続いている。昼間ならTシャツ一枚でも大丈夫そうな陽気となった▼散歩に出れば、サクラの花はとうに散ってしまったが、今度はハナミズキが満開近い。不思議なにおいを放つヒメリンゴの白い花もそろそろ見ごろだろう。「春のうらら」。そんな季節である▼一年間を七十二に分けた七十二候でいえば、今は「田鼠(でんそ)化して鶉(うずら)となる」(十日から十四日)。田鼠はモグラで、鶉はウズラに似た鳥だそうだ。うららかな陽気につい誘われ、地中のモグラもウズラになってしまう。もちろん、そんなことはないが、それほどのびのびとした気分の良い季節ということなのだろう▼モグラがウズラに変身する話にカエルが人間の目を借りていく言い伝えを思い出す。「蛙(かわず)の目借時(めかりどき)」。諸説あるが、この時分、カエルが人の目を借りていってしまうので、人は眠くなるのだそうだ。晩春の季語で、とかく眠くなりがちな陽気や気分を表している▼<蛙になど貸せぬ眼を瞠(みは)るなり>野路斉子。歳時記にあった句にどきっとする。穏やかな陽気なれどウクライナを思えばうたた寝は許されまい▼ロシア軍は首都キーウ攻略をあきらめたようでもあるが、戦力を東部に集中させている。過去にシリアで無差別攻撃を指揮した冷酷な人物が総司令官に任命されたのも気になる。カエルに目を貸さず国際社会はロシアの動きを見張り続けたい。