東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2022年04月18日 | Weblog

その家族は戦火を逃れるためウクライナの首都キーウからポーランド国境を車で目指したそうだ▼途中から歩かなければならなくなったが、一緒に連れていた老犬が疲労から歩けなくなってしまう。お父さんが肩に担いで歩いたそうだ。犬はジャーマンシェパードというからゆうに三〇キロを超えていただろう▼途中で見た車を止め、乗せてほしいと頼んだが、犬を理由に断られてしまう。家族を助けたいのなら、犬はあきらめた方がよいのでは。そう助言する人もいたそうだ。家族はあきらめなかった。犬とともに歩ききり、無事、ポーランドに入国した▼ロシアが侵攻を始めた当時の話だそうだ。犬を飼っている人なら肩に担ぎ上げたお父さんの気持ちが分かるだろう。犬だって喜び、悲しみを分かち合ってきた家族。ましてや戦火の地に置き去りにはできまい▼日本にもウクライナから避難されてきた人がいらっしゃるが、せっかく連れてきた犬のことで思い煩っている方の話をニュースで聞いた▼日本の法律では犬は検査のためおよそ半年、検疫所で待機しなければならないそうで、その間、飼い主は犬に会えない。母国の悲劇、不慣れな地での生活を思えば、「家族」と会えないことはどんなにつらいか。検疫所での費用もかかる。知恵はないものか。避難民を引き受ける以上、家族と離れる悲しみからも避難させてあげたい。