蟻と蟻うなづきあひて何か事ありげに奔(はし)る西へ東へ 橘曙覧(たちばなの あけみ)
あんまりいそいで こっつんこ
ありさんと ありさんと こっつんこ
あっちいって ちょん ちょん
こっちきて ちょん
あいたたごめんよ そのひょうし
わすれた わすれた おつかいを
あっちいって ちょん ちょん
こっちきて ちょん
関根栄一作詞・團伊玖磨作曲の「おつかいありさん」だ。
幼稚園児から小学生低学年では、いつも聞いていた歌だ。
橘曙覧の歌も子供心には「おつかいありさん」の魁というか本歌というかそういう響きがある。
ところが、大人の心で解釈すれば、橘曙覧が生きていた幕末ということを意識すると、国事に奔走する勤王の志士達の比喩ではないかと思えてしまう。
<事ありげに奔(はし)る西へ東へ>だからだ。
だが、曙覧自身は、市井の人として生きる覚悟で生を全うしている。
<1858年、安政の大獄で謹慎中の松平春嶽の命を受け、万葉集の秀歌を選んだ。曙覧の学を慕った春嶽は、1865年、家老の中根雪江を案内に「藁屋」を訪れ、出仕を求めたが、曙覧は辞退した。>(ウィキペディア 橘曙覧の項より)