春の夜(よ)や心の隅(すみ)に恋つくる 吉川 五明(きつかわ ごめい)
吉川五明は、何か物を見ると、そのものの抱えている美しさのポイントをまるで写真家のように見続けて、その美の奇跡的な一瞬を見逃さない、また、何かを聞いたら、その音を聞き続けて音の本質をつかみ取る、そんな芸術家的な俳句を作るのですが、この句では、思春期の男の心の隅を見逃していない。
恋はちょっとした心の隅に現れるのだが、それが次第に心を覆いつくしてしまう。
さあ、その次は。(次は、小倉百人一首でも良く知られている歌です。)