今回は流速カスタムの最大パワー発生ポイントについて、完成した「BOLT MP5A4 Tactical パワーカスタムβ」を使って説明してみたいと思います。
流速カスタム・流速チューン(以下、流速カスタム)を私が一言で表すとすれば「重量弾に適切なHOPとパワーを与えるセッティング」、制限のあるパワーを如何に効率よく生かせるかがこのカスタムのカギとなります。
0.20g弾ゼロHOP時のパワー 画像左:ノーマル 画像右:パワーカスタムβ
一般的なパワーの計測は0.20g弾を使いゼロHOP時状態で行われることが多いのですが、このデータを見る限りでは流速カスタムもノーマルと大差はありません。
0.28g弾HOP適正時のパワー 画像左:ノーマル 画像右:パワーカスタムβ
しかし0.28g弾にHOPを掛けて計測してみるとその違いが現れます。適正なHOPを掛けるのに強い摩擦力が必要な重量弾を使うとパワーダウンしてしまうノーマルに対して逆に上昇するのが流速カスタムの特徴で、飛距離が伸びたり被弾感覚が強くなるのも”単なる気のせい”でないことが分かります。
:パワーカスタムβ 0.30g弾HOP適正時のパワー
「それじゃパワーが際限なく上がって危ないんじゃないの?」
勿論そんなことはありません。
今回施工した「パワーカスタムβ」は0.28~0.30g弾の使用を想定したセッティングです。0.28g弾HOP適正時に最大パワーを発生させますが0.30g弾HOP適正時にはやや下がり始めるので、”0.2g弾 98m/s以下(0.96J)”などの一般的なレギュレーションにも十分対応できているのがお判り頂けるかと思います。
パワーが下がってしまうのを見るのはちょっと寂しいですが流速カスタムにおいてこれは重要な特性で、例えば最大HOPで最大パワーが発生するようなセッティングにしてしまうと実際の使用状況(適正HOP時)に十分なパワーが発生しないことになります。
つまり無限にパワー上昇してしまう流速カスタムよりも、適当なタイミングでパワーダウンしてしまう流速カスタムの方がレギュレーション的には有利だと言えるのです。
最大パワーの発生ポイントを狙いどおりに設定するのは流速カスタム最大の難関、パワーの強弱はスプリングの強度で調整できますがピークはバレル長や内径、シリンダー容量や機構の気密性なども考慮する必要があり組み合わせは無限大です。
私の場合も大まかなセッティングは過去の経験からある程度推測できるのですが施工する個体にベストな施工内容は毎回違ってくるのが実際で「経験がモノを言う」なんてカッコよく表現もできますが毎回ドキドキしながらやってるのが本心だったりします(笑)
バレルカットでパワー調整してる人が「成功した流速は・・・」なんて自慢するのはこの辺の理屈が今一つ理解できていないからだったり、HOPを適正以上に上げれないよう固定するのも帳尻合わせに仕方なくやっていること、こっそりレギュレーショ違反するなんてのは論外です。
”重量弾に適切なHOPとパワーを与えるセッティング”、単純なようで意外と難しいこの難題をクリアした時のみ流速カスタムは本来の特性が発揮できます。そしてこのBOLT MP5A4 Tacticalも紆余曲折ありましたがそんな優れた流速カスタムの一丁として生まれ変わることができました。
以上、流速カスタムの最大パワー発生ポイントについてのお話でした。