松本清張生誕100年を記念して制作された「ゼロの焦点」を鑑賞しました。
彼の作品は、殆んどと言って良いくらいに「格差」が含まれていると感じています。
それは、自身が辛い経験をしたことによるのだろうと思うのですが・・・。
私の父は片腕しかなかったので、兄たちは辛い経験(差別)をしたと言います。
兄たちのお蔭でしょうか、私は辛い思いをしたことはありませんでした。
兄たちは、辛い思いをしたから「頑張ろうとか負けたくない」という意識が
強く働いたのでしよう。
とても頑張って一般に言われる「成功者」になれたのだろうと思います。
しかし、私には全くそのような意識がありませんので、相変わらずお人よしで、
貧乏人です。
でも、沢山の友人に恵まれ、日々を楽しく暮らせる私は幸せ者だと自負しています。
映画は、過去の自分を知られると困る事で事件が起きてしまいますが、
どんな過去であっても、それは自分が歩いた道ですから受け入れるより他ありません。
私自身、過去を振り返れば沢山の失敗もあり、覆い隠してしまいたい事もありますが、
人は日々変わっていくものであり、現在の自分の姿を好きでいられるように
努力することが大事と思っています。
映画を観終わって余韻に浸っていると突如中島みゆきの音楽が流れてきました。
これには圧倒されます。題は「愛を残して」だったかな?
どんなに時代は代わっても心に受けた傷は中々癒せません。
自分の意志に反しての生活を余儀なくされた者の傷は尚更だと思います。
努力して肩書きや地位を得た人は、中傷なども受けやすく、
余計に過去の秘密は守りたいものかもしれません。
時代に翻弄された人々の事件簿ですが、現代社会にも通じる所がありますね。
久々の映画です。