花のために(鳥のために)

季節ごとの花や鳥の記録など by つな

時々すごく読みたくなる ポール・エリュアール/大岡信

2012年04月12日 20時41分30秒 | 日記
     春のために


砂浜にまどろむ春を掘りおこし
おまえはそれで髪を飾る おまえは笑う
波紋のように空に散る笑いの泡立ち
海は静かに草色の陽を温めている

おまえの手をぼくの手に
おまえのつぶてをぼくの空に ああ
今日の空の底を流れる花びらの影

ぼくらの腕に萌え出る新芽
ぼくらの視野の中心に
しぶきをあげて廻転する金の太陽
ぼくら 湖であり樹木であり
芝生の上の木洩れ日であり
木洩れ日のおどるおまえの髪の段丘である
ぼくら

新らしい風の中でドアが開かれ
緑の影とぼくらとを呼ぶ夥しい手
道は柔らかい地の肌の上になまなましく
泉の中でおまえの腕は輝いている
そしてぼくらの睫毛の下には陽を浴びて
静かに成熟しはじめる
海と果実



「記憶と現在」より

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2 コメント

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意外な展開 (sanpo)
2012-04-13 06:29:44
更新は休日の後とばかり思っていましたが、
念のため、ちょっと覗いてみると、予想外でした。
ステキな詩!
春はいいですね。
返信する
Unknown (つな)
2012-04-13 06:59:56
青春の一時期、多くの若者と同様に詩に憧れていました。その多くは昭和一桁の詩人たちです。立原道造、三好達治、谷川俊太郎、大岡信、田村隆一などなど。
この詩は出だしの一行でもう参ってしまいましす。
私の果実は成熟したのでしょうか?
返信する

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