人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

虎の敷物

2017年03月26日 | 日記

明治生まれの伯父は

昔、満州、熱河という街で

陸軍病院の院長をしていたそうで

敗戦となったときに

引き揚げが始まると

地元の住人たちが大挙してやってきて

どうか帰らないでくれと

懇願したというのです。

これは無口な伯父が語った話の一部。

でも帰らなくてはならない

とわかると

住民たちはなんと「虎の敷皮」を

贈ったのです。

戦後間もない頃、伯父の家に行くと

この虎の敷物が

広い座敷に敷いてありました

これは

日本の陸軍病院が

地元の人たちに

暖かい治療を提供していたことを

物語っています。

あの南京でも

人口が増え、穏やかな表情の

街の人たちの写真が残っているのは

ほんとのことを語って

いるのだと思わずにはいられません

あの虎の鋭い目が

そう語っています・・・