宮本輝「泥の河」はもはやない
あの時代へのオマージュ。
あんなに辛い時代だったのに
文学はそれを詩に昇華させて
私らに哀切の情を掻き立てる
のですね。
今の土佐堀川あたりにはかけらも
その名残などないでしよう。
そしてあればそれこそ自治体として「排除」したい
そのものですよね。
だからーー
文学は魔法なのですね。
ひとはそんな魔法を求めてせめてもの文学碑を建てたり
ここがそうだったんだねと
井上靖の跡を辿ったり
藤沢周平、海坂藩の地図を作ったりするのですね。
幻を追うのは楽しいしわくわくするけれど
とりわけ大阪が舞台では「文学」は
夢まぼろしと消え果てているのでした。
それにしても
小栗康平のあの映画のなかで
やっぱり強烈に記憶に焼き付いているのは
加賀まりこでした・・・