Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ボタタタキ

2017-05-14 23:57:01 | つぶやき

 昨年は連休終わりにはすでに畦切り作業をして、畦にあるモグラの穴を潰していた。それでいて昨年の田植えは6月に入り込んでしまった。周辺では相変わらず最も遅く田植えをする我が家。ことしはもう少し早くしたいと妻は言うが、この週末に畦塗りを終えられなかった。というか、1年に数時間しか使わない畦塗り機が、いざ動かそうと思ったら動かずに、結局この週末に畦塗りができなかった。例年畦切りをして、畦塗りによって畦畔が元通りの厚さになるのだが、モグラの穴がどこまでも続いていると、畦を切りすぎて薄くさせてしまっていた。そんなこともあって、妻からは「今年は畦切りをしないように」と言われていた。畦きりも容易な作業ではなく、スコップを使って端から畦際全てを幅にして10センチから15センチほど切り落とす。その上でモグラの穴があったりすると叩いて潰すわけだが、穴がどこまでも畦の奥まで続いていると、畦をさらに切り込んでいってしまう。それでは畦が薄くなってしまうので、耕土を畦に張り付けては肉付けすることもある。そして槌を振り下ろして畦を叩く作業(ボタタタキ)はけっこうつらいもの。とりわけ歳を重ねてくると、これほどの重労働は1年の中でも見当たらない。もちろんかつて行っていた手塗りの畦塗りはもっと大変だったが…。

 ということで畦切りはせず、ボタタタキを始めたものの、やはり大きな槌を振り上げるのはきつく、すべての畦を叩くのは辞めにした。叩いたところでモグラの穴が見えないところにあって、水をつけたら抜けてしまうことも珍しくない。そんななか、近所でもボタタタキの音が。近所の若い彼が、ひたすら畦を叩いている。丁寧な畦作りには頭が下がる。でも完全に叩き尽くすということはできない。水をつけて様子見ということになる。実のところボタタタキなどという労働は、あまりよそでは見ない。わたしの稲作空間ではたびたび目にする作業だが、とりわけ平らなところではなかなかお目にかからない。会社の同僚に聞いても「何もしない」という。モグラの穴を潰すのは簡単ではないからだ。

 我が家ではボタタタキ用の槌がいくつか用意されていて、見つけたモグラの穴を潰すためには径の小さいもの、全体を締固めるための木の株から作ったようなずっしりとしたものまである。畦塗りをする以前は、古い内畦を削るのは最小限にとどめ、なるべく叩くことでモグラの穴を潰すようにしていたので、ボタタタキには時間をかけた。このボタタタキも人それぞれで、槌の代わりに平たい板を重ねた法面整形用の板で叩く人も多く、同じものは我が家にもあるがあまり使わない。以前は木の株でできた重たいものを振り上げたが、今は最初のうちはその次に大きなもの。しだいに振り上げるのがつらくなると、穴潰し用の径の小さいものに手が伸びるようになる。


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