「大三国」2本目のラストである
実家のある飯島町本郷神社の祭典に2年ぶりに訪れた。秋の祭りということもあって収穫を感謝しての祭り。だからこそ客呼びをしてそれをみなで祝うわけであるが、これまでにも毎年記してきた年中行事である。かつては9月30日が祭典日であったが、土日開催にどこの神社でも変更され、今では同日に近い土日をあてるようになった。昨年は父が亡くなったということもあって、このあたりでいう「ブク」にあたり、祭典に訪れることはなかった。したがって2年前は父も同席してのお客であったが、父なきあと初めての祝いの席であった。歩くのもままならなくなった母と宴席を同じくできるのもあと何年のことか、と思いながらの2年ぶりの良き日であった。
この日ここ数年通り、電車で実家に向かう。いつもは七久保駅に着くと駅前が賑やかなのだが、今年は暦の関係で七久保の祭典は来週のよう。静まり返った駅に乗り降りをする人影もなく、次の伊那本郷に向かって発車した。車窓に見える水田のおおかたは刈りとられたが、まだまだ稲が残る水田も多い。このあたりでは刈りとりは協業のコンバインで行われるため、その順番待ちといったところか。車窓からいわゆるハザ架けの光景を目にすることはない。99パーセント近くコンバインによる刈りとりと思われる。伊那本郷の駅を降りると、すぐわきの小さな水田にハザが唯一見られた。かつて自家用米はハザ架けという時代もあったが、いまやそういう手間をかける人は稀である。実家の近くにそんなハザがいくつも見られ、そんな稀な光景が残る。
今年の打ち上げ花火は、例年にもまして我が家からはほとんど見ることができなかった。我が家は谷の中。いっぽう打ち上げは段丘上の我が家からみれば奥まったところだったため、高く揚がっても上半分が見えるのが良いところ。スターマインときたらすっかり木の中に隠れてしまう。段丘が重層化しているため、地区のどこら見ても花火が望めるという場所は限られてしまう。家屋から一定距離離れていないと揚げられないということもあって、結局打ち上げ花火を望める家は少なくなってしまう。とはいえ、ここでは打ち上げではなく、庭花火がメイン。わたしも恒例のように神社へ足を運んで庭花火を楽しんだ。昨年の花火を知らないのでなんとも言えないが、今年の三国はいままでとは違うという印象を持った。いわゆる春夏秋冬と4回噴出する花火がとても弱く感じた。筒の向きの関係もあるのだろうが、最後の噴出はともかくとして途中の花火がかなり弱々しかったし、色合いも赤みがかったもので、あたり一面が昼間のように明るくなるということはまったくなかった印象である。それは写真からも察知できる。今年も2本の三国が揚げられたが、少し色あせた印象は否めなかった。
今年は今までにない光景を駅で見た。帰りの電車を待っていると、複数の人がわたしと同様に電車に乗り込んだ。友人に誘われてやってきた高校生らしき姿であった。
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