月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

でんでん虫ののはなし

2018年06月11日 00時57分53秒 | ふうわりふわり(坊守日記)


雨の一日でした

時計草の蔓にでんでん虫

殻を伝って雨の雫が零れ落ちそう

その雫は宝珠のようでもあり

涙のようでもあります

ふと、新美南吉さんの物語を思い出しました

『でんでんむしのかなしみ』

「わたしは いままで うっかりして いたけれど、わたしの せなかの からの なかには かなしみが いっぱい つまって いるのでは ないか」

ということに気づいたでんでんむしは、このかなしみをどうしたらよいのか、尋ね歩きます。

そして、だれもみな かなしみを持っているのだということを知るのです

やっぱり、あの雫は涙だったのかなあ


ででむしの殻より溢るる涙かな


涙は優しさという宝珠かもしれないですね


かなしみを知る人こそ真に優しいですものね



(『でんでんむしのかなしみ』新美南吉作、かみやしん絵、大日本図書)


おまけ‥‥ででむしや分岐点で立ち停まる
ででむしの歩みの先は夢の中

おやすみなさい