今と違うて洗濯は井戸から水を汲み上げ
たらいに何杯も入れて、洗濯板で手洗い。
掃除はハタキとホウキと雑巾がけ、
料理はクドに薪で火を起こし、
七輪に炭や練炭で火を起こして煮炊きする。
風呂を沸かすゆーたら、それこそ桶に何杯もの
井戸水を五右衛門風呂に汲み上げ
これもまた松葉や落ち葉などから薪に火をつける。
母親の仕事は今から思えば大変なものじゃった。
その間にゃあ赤子に乳をやらにゃあいけん、
オシメを代えてやらにゃあいけん、
オシメも使い捨てじゃない布製じゃ。
冷たい川の水で洗うたりすりゃあ
手もしもやけになったり、あかぎれになりもする。
江戸時代の話じゃない、たったこの前までそうじゃったのよ。
どの家にもニワトリを飼い、タマゴを取り、
時には家でニワトリの首をはね、羽をむしり肉を食べる。
そのニワトリを狙い、イタチや蛇がやってくる。
どの家も天井裏にはネズミが棲み、
それを狙う大きなヘビ(青大将)がおった。
番犬として犬を飼い、当然ながら家の外で飼っていた。
今のように家の中で生きたぬいぐるみのような
飼い方じゃない。真冬でも当然じゃった。
家の庭には実のなる柿やイチジク、はっさく、ざくろ
などの木が植えられ、実がなるのが楽しみじゃった。
ワシら小さいときは縁側から落ちたらいけんので
帯で柱に犬のようにつながれてとったらしい(笑)。
古き良き時代じゃが、母親の忙しさ強さには感心します。