「大丈夫、ええ、小沢、大丈夫か。許せ。先日は悪かったよ。小沢」
小沢久が覆いかぶさった。
「事故かと思った」
と後部座席から向こうの席に渡り、四五十歳の女の声が高く響いて、
「道が悪いの、歩いて見ればよくわかるんだから。最近ですよ、少しはよくなったのは」
「いいえ。少しじゃありません。随分キレイになっています」
「じゃさっきのは何なのよ。ほらまた、穴ぼこ」
「置き石なんですよ」
「石ですって」
「私も、まさかバスの路線妨害なんて妙に思いましたがね、本当なんです」
「すぐに犯人が捕まえられません?」
「それは・・・あ、降ろしてくださあい」
バスは止まり動き出すと同時に、再び停止、話中だった二人の女は太い腕に子供を引き連れて降りた。
(つづく)
小沢久が覆いかぶさった。
「事故かと思った」
と後部座席から向こうの席に渡り、四五十歳の女の声が高く響いて、
「道が悪いの、歩いて見ればよくわかるんだから。最近ですよ、少しはよくなったのは」
「いいえ。少しじゃありません。随分キレイになっています」
「じゃさっきのは何なのよ。ほらまた、穴ぼこ」
「置き石なんですよ」
「石ですって」
「私も、まさかバスの路線妨害なんて妙に思いましたがね、本当なんです」
「すぐに犯人が捕まえられません?」
「それは・・・あ、降ろしてくださあい」
バスは止まり動き出すと同時に、再び停止、話中だった二人の女は太い腕に子供を引き連れて降りた。
(つづく)