50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

【閑話】親父の口癖その1

2015-01-16 20:54:58 | 小説
小説「鉤」は大円団を迎えるところではありますがここで一服・・・

「ふりかえれば、スカだった」

周りの人のことを語っていたかもしれないが、結局は自嘲であったかもしれない。
このような厭世的なニヒルな物言いは、(自称)作家としては当然のことかもしれない。

確かに誰もが何らかのキャッチコピーを求めているのは事実だ。アイデンティティと言い換えてもよいと思う。

人はつまるところ、火葬であれば灰となってしまう。そうすればアタリもスカもなく、死に臨んで無があるのみかもしれない。

「ふりかえれば、スカだった」

親父は成功者とはいえないはずなので、比較にはならないが、成功者が晩年そのように発言すれば、何となくその言葉の裏になにかありそうで、とても深みがあるような響きではある。