自家の二階家中妙子の信仰に従う灯がともっていたが、ひっそりとした中で妙子はいつの日も拝みながら二人を待った。その家を英次が何度も見て通ったことで、雄吉にはある得心を持たせていた。それから緑の市が出た広場を見て、英次は途中から切り出すようにこういうのである。砂場やブランコやベンチを見つめ、
「側にいてやるほど動物は愛情が通じあうという、でしょう?」
「まあね」
どうしてと声を飲んだ雄吉は問わずにいたい気がしたものだった。冷静な態度を何よりも必要にして、有効な時間にしたかった。内心はいよいよ正気の賢明な英次に、ブランコに乗りたいような嬉々とした心持ちだったものの、英次の声はけれんみもなくて落ちつき、
「ぼくが動物として、いや動物並みに扱われてはいなかった」
「当然だよ」
何をいうかとまた声を飲む雄吉だ。
(つづく)
「側にいてやるほど動物は愛情が通じあうという、でしょう?」
「まあね」
どうしてと声を飲んだ雄吉は問わずにいたい気がしたものだった。冷静な態度を何よりも必要にして、有効な時間にしたかった。内心はいよいよ正気の賢明な英次に、ブランコに乗りたいような嬉々とした心持ちだったものの、英次の声はけれんみもなくて落ちつき、
「ぼくが動物として、いや動物並みに扱われてはいなかった」
「当然だよ」
何をいうかとまた声を飲む雄吉だ。
(つづく)