ゆきさんが親知らずを抜いたそうな。親知らず!私はすでに4本とも抜いているが、あれの抜歯は非常にキビシイものがある。
私の場合も、水を口に含むと、上の両奥歯がしみることから始まった。しかし、冷水を飲んだ時だけだったので放って置いたのだ。中学の時に歯列矯正で3年間痛い目に遭わされたトラウマで歯医者なんか見るのもイヤだったから、少々のことでは行きたくなかったのである。今だったらネットとかで評判の歯科医を探し出すのも簡単だが、当時は口コミぐらいしか情報の収集手段が無く、おまけに近所の歯医者は軒並み評判が悪かった(爆)。だから、どうしても足が向かなかったのである。
しかし、数年を経て明らかに病状は進行していた。水以外の物でもしみるようになり、指で触ると明らかに穴が空いている。虫歯だ…!それでも私は歯医者に行かなかった。今度は「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか!」と怒られるのが怖かったのである。行かないから悪化する、それを怒られるのが怖くて行かないという悪循環。昔から私はそういう人間なのである。怒られるのがイヤで黙っていたら、事態が悪化して結局もっと痛い目に遭うんだなぁ。この臆病な性格、いい加減に直したいのだが、なかなか直らない。
それはさておき、この悪循環もそう長くは続かなかった。「しみる」を通り越して慢性的な歯痛になったのだ。忘れもしない、恵比寿の
つばめグリルであまりの痛さに食事にならなかったことを。全部食べたけど味わうどころではなかった。我が家の常備薬に鎮痛剤はないのだが、この時ばかりは
バファリンプラスを帰りに買って飲んだ。
劇的に効いて何とか落ち着いたが、さすがにこうなると観念せざるを得ない。母のパート仲間のかかりつけだというT歯科医院に飛び込むと、先生は怒りもせずに「あー、こりゃ親知らずがボロボロですねぇ。今すぐ抜けますけどやっちゃいますか?」とあっさり言うので、二つ返事で抜いてもらった。親知らずとは言え、普通の歯と同じように生えていたため、サクッと抜けた。見ると、左の奥歯の表に出ている部分は一部を除いて完全に欠落しており、中の組織が丸見え状態。右の奥歯はそこまでは行っていなかったものの、歯のど真ん中に、まるで子供が虫歯の絵を描いたかのようにまん丸い大穴が空いていた。よくこんなになるまで放っておいたもんだ。私が歯科医なら「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか!」と怒鳴りつけてやるところだ。
ついでにレントゲンを撮ってもらうと、下の親知らずは両方とも歯肉の奥に沈み込み、見事なまでに真横に生えていた。「今は痛くないようですけど、痛まない内に抜いちゃいますか?」と先生は言い、私もどうせ抜くなら早い内にやっておこうと思い、二つ返事で承諾した。それから1週間ごとに残りを抜いていったのだが大変だったなぁ、そのままじゃつっかえて抜けないからって、歯を切断して。肉まで切られないか心配でたまらなかったよあの時は。先生がこれでもかと力を入れて抜きにかかるのだが、歯肉の奥底にあるからなかなか抜けない。診察台を操作して頭を目一杯下げてるから頭に血が上って気持ち悪いし、なかなか抜けないから助手の人とか「大丈夫かしら」みたいな感じで見物に来るし。まぁ、ここまで大がかりにやった割には熱や痛みといった後遺症もなく済んだので良かったけれども。
ちなみに、抜いた4本の親知らずは、現在もへその緒と共にとっておいてある。妹の親知らず&へその緒も一緒である。ついでに、祖父の胆石も一緒である。とっておいてどうするんだという気がしないでもないのだが。