私達夫婦は、昨年に引き続き2回目の皇居勤労奉仕団への参加です。
初回と異なり、奉仕活動の要領を心得ているだけ、心にゆとりが持てました。
そのゆとりは意外な事に遭遇する機会へと導いてくれました。
例えば「リヤカー」です。
半世紀前までの農家の運搬用荷車としての必需品でした。
今は軽自動車へと、その使命は代替わりしております。
それが皇居内では現役です。
懐かしさが募って、老僕に鞭打って率先してリヤカー引きを申し出ました。
4列縦隊の先頭を切って、皇居のメイン通りをリヤカーが清掃道具を積んで通ります。
時々、高級車両と行き交います。
急な上り坂、誰かが後ろを押して軽くなります。
懐かしく、そして嬉しい非日常的な事への遭遇です。
皇居の中、至る所に椎の大木が群生しております。
葉も常緑であるものの落葉樹的な形質があります。
新芽が芽吹く頃、樹木の下は落ち葉で覆われております。
今回の勤労奉仕は、その落ち葉の掃き掃除が主な活動でした。
吹上大宮御所入口付近から乾門通りまでの道路の掃き掃除です。
昭和天皇と香淳皇后がお住まいになった所です。
昭和天皇と時代を共にした世代です。懐かしさが募ります。
宮殿の豊明館、正殿に至る道路の掃き掃除。
天皇陛下が御所から宮殿に時々徒歩で通われる、との宮内庁職員の説明に
親しみが沸きます。
そこは天皇陛下の通勤コースです。
宮殿の長和殿は正月参賀の人たちにベランダから
天皇・皇后両陛下や皇族方がお応えになる場所です。
その広場の地下が大駐車場です。その清掃をしました。
その際、出口に戻ってこない迷子の仲間が数人いました。
率先して呼び出しに出掛けた若い女性がいました。
出口から駐車場に入って行って、大声で名前を呼んでいるのです。
「なんて素敵な声だろう!」聞き惚れてしまいました。
実はこの方、声楽家のプロの歌手でした。
勤労奉仕のご縁で知り合いになりました。
皇居の掃き掃除、私達夫婦は分担が分かれました。
私は塵取り専門、そして家内は竹箒です。
塵取りを通じて若人の勤労奉仕の真面目な姿を垣間見ることが出来ました。
赤坂御用地の天皇陛下が主催する園遊会の庭園で記念写真を撮影しました。
記念写真は咲き始めた桜を背景に、季節感を演出しております。
宮内庁職員のさり気ない気配りが随所に感じられます。
皇太子殿下ご一家のお住まいの東宮御所の中庭の清掃活動をしました。
この場所への立ち入りはごく限られたものと伺いました。
皇太子殿下がジョギングに向かわれる際、通る遊歩道の雑草取りをしました。
中庭は軽井沢の風景そのもの、
白樺の大木に東宮御所の過ぎし日々の面影を感じます。
皇居内の清掃奉仕活動や施設見学後の窓明館での昼食会、
配膳された弁当に特別な旨味が加わります。この味忘れられません。
参加回数を重ねる毎に、その旨味も増すことでしょう。
今年も、蓮池参集所にて天皇・皇后両陛下のお会釈を賜りました。
一年ぶりに天皇・皇后両陛下に再会できたこと感無量の思いです。
お会釈の終わりの「万歳三唱」、昨年に引き続き我が団長が担うことになりました。
それは大変名誉なことです。
団長の力強い発生で「天皇陛下、皇后陛下万歳、万歳、万歳」と
両陛下のご健康を御祈願し、大声で三唱しました。
天皇陛下からの賜り物伝達式に副団長の代理出席に指名され、
団員としての絆を深める機会になりました。
私達夫婦が勤労奉仕で体験した、この感動を多くの方に語り伝え、
奉仕活動の更なる普及に努めたいと思います。
最後に、いろいろとお世話を賜りました川久保様、「皇典研究会」団長久保山様、
副団長橋本様に心からお礼申し上げます。
そして、親しく交流させて頂いた奉仕団の皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。