日々徒然です

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ある日の2人

2015-03-06 10:04:38 | 小説
広大な敷地の庭に佇む少年が1人、ただ立ち尽くしている

私が、このお屋敷に執事として働かせて頂いた時の印象でした
父の代から執事として働かせて頂いており当然、私も執事候補として
このお屋敷に働かせて頂く事となり
父と共にご挨拶に伺った際に抱いたものでした
少年は、年の割には静かで何かを悟ったような面持ちでした

ご当主はお忙しい方でしたので、お屋敷での少年はお1人で生活されておいででした
お母様は小さい頃に亡くなられたとの事、少年の心は閉ざしたままなのでしょうか

ある日、奉公に来た少年がおりました
年の頃は、ご子息より2つ程下と話しておりました

その頃には私も執事として、このお屋敷の全てを任せていただけるようになっておりました

奉公に来た少年は、仕事をするのにも時間を要したものでした
何を思ったのか坊ちゃんは、少年をお側に置くとおっしゃいました
従業員一同びっくりしているなか、少年は坊ちゃんの側付きになりました

坊ちゃんが勉学に行かれている際などはお屋敷の仕事をする事になっており
傍目から見て続くのか心配になるほどでした
そんな心配はよそに
少年のお陰でしょうか、最近の坊ちゃんは和らいだ表情をされると評判になりました
これも、あの少年のお陰でしょうか

広大な敷地の庭は2人の少年が映るようになりました
静かだったお屋敷も明るくなり従業員も2人を見ていると心が暖かくなるほどでした