日々徒然です

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亡き母を思い

2015-03-19 03:31:31 | 小説
父はとにかく忙しい方で母だけが私の心の拠り所だった
伯爵家の事業は何故か上向きになっていた。父の手腕が良いのか、側近が良いのか
幼い頃から父との触れ合いが余り無かったが、それでも家に帰っている時は
いっぱい異国の話しをしてくれ、遊んでもくれた
だが、父は直ぐに仕事に出かけて行って、いつも母と2人で大きなお屋敷に住んでいる

そんんな母が病に倒れ父の看病の介もなく、あっという間に天国に旅立ってしまった
母はいつもローズガーデンを眺め、バラが好きだと話してくれていた

私は1人佇んでいる
一粒の涙が頬を伝う
これからの事など
全くやる気が無く
只、バラを眺めている

いつものようにバラを眺めていると視線を感じて屋敷を見る
見知らぬ少年が私を見ていた
「また、奉公人か」「どおせ無理難題を言い去って行く」と思ったが
私の話しに耳を傾け、辛抱ずよく付いてくる
その仕草が面白く心が温かくなっている自分が居る
徐々に、少年の姿を探すようになっていた

私はそんな彼を側付きにしようと決めた
父はふたつ返事で許可が出た

学業の傍ら少年との日々も楽しいものとなった
少年が居ないと不機嫌になったり
この思いはなんなのか?未だ分からぬ私がいた