発車ギリギリに、空席に座った女性がとある封筒を握りしめている。
地味な少しとろんとした目、髪はセミロングで、頬が少し赤い。
ほろ酔い気味のその女性は目をギラギラさせて、握りしめていた
封筒のミシン目のところをビリビリと破き始めた。
え?
そ、それって、給料明細じゃあないの?
周囲の人はみんな、そう思ったに違いない。
そして、封筒を程よくひろげて、穴が開くほど凝視した。
やがて、とても満足気な笑みを浮かべて、大切にそうに
鞄の中にしまったけれど、彼女の隣に座っていた青白い
煮干しみたいにげっそりとした青年が、彼女の給料明細を
覗き込まない訳はない。
でも、彼女は上の空で、全く気がついていないらしい。
何て警戒心のない人なんだろう。
目の色変えてまで、給料明細を電車の中で見ようなんてするくらいだ。
きっと彼女も驚く金額が書かれていたに違いない。
彼女に捧げる言葉・・・
暗い夜道と甘い言葉にはくれぐれもご用心を。
さすれば災いも遠ざかるであろう。
地味な少しとろんとした目、髪はセミロングで、頬が少し赤い。
ほろ酔い気味のその女性は目をギラギラさせて、握りしめていた
封筒のミシン目のところをビリビリと破き始めた。
え?

そ、それって、給料明細じゃあないの?
周囲の人はみんな、そう思ったに違いない。
そして、封筒を程よくひろげて、穴が開くほど凝視した。
やがて、とても満足気な笑みを浮かべて、大切にそうに
鞄の中にしまったけれど、彼女の隣に座っていた青白い
煮干しみたいにげっそりとした青年が、彼女の給料明細を
覗き込まない訳はない。
でも、彼女は上の空で、全く気がついていないらしい。
何て警戒心のない人なんだろう。
目の色変えてまで、給料明細を電車の中で見ようなんてするくらいだ。
きっと彼女も驚く金額が書かれていたに違いない。
彼女に捧げる言葉・・・
暗い夜道と甘い言葉にはくれぐれもご用心を。
さすれば災いも遠ざかるであろう。