私の酒の始まりは、祖父の部屋で飲んだ養命酒である。
小学校の頃から、薬用だから、まあいっかてな感じで、祖父が飲ませてきた。
当時、私はなんか良い匂いがして、体はポカポカするわで、薬かと思った。
その養命酒は毎日飲むのがいいらしい、祖父は毎日、肴は身欠きニシンでと。
そして中学校の頃からは、山で捕まえて来たマムシを漬けた、マムシ焼酎ときた。
私が風邪を引くと、上を裸にさせてから、口に含んだ焼酎を背中に吹きかけてきた。
それを飲ませもする。これは強い。生臭さが半端ではない、毒も残っているのでは。
野良仕事の合間にマムシを見つけると、喜んで捕まえて酒詰めするので、順次並んでいる。
何年も前のなんか、もう溶けかかっている。その方が、効果大なのだろう。
マムシ焼酎は御免である。後年、奄美や沖縄でハブ酒を飲んだのも後悔している。
高校になってからはビールである。父からだったが、苦くて一口で、よした。
婆ばに連れられて、蔵に入ってウメ酒を飲み出したのも、この頃か。
社会に出てからは、それは生ビールとかを、がぶがぶと飲むようになっていった。
それからは、麦焼酎、ウイスキーといったのか。沖縄に行くようになってからは泡盛か。
中国大陸に憑りつかれてからというもの紹興酒、白酒へとなった。
浙江省は魯迅の故郷、紹興の小店で買って飲んで悦に浸った。
それもあってか、中国の文化財の魔力にはまって「麦と兵隊」の世界へと入ってった。
マオタイ酒は初めは良かったが、もっとええ酒を知る。角さんを超えたわい。
数十回と派兵、いや旅を重ねるうちに、湖南省産の酒に出会う。毛沢東の地や。
後を引くは引くはで、まるで紅楼夢、金瓶梅の地に来たようじゃったわ。
わしは、マオタイなんぞは、もう飲まん。ええ酒が大陸には五万とあるわい。
なんか、だんだんと酔ってきた。酒池肉林、もっとええ酒はねえけ。
ああ、そうそう、ベトナムの山奥で百姓が作り売ってた50度越えのがあった。
村のかっちゃん、ばっちゃん達がの、自家製のを並べておったわ。
似たようなポリ容器に、でかでかと度数のみを書いていたな、40、50、60てっな。
いやこれが旨いのなんのってな、わしはこの密造酒まがいのに唸った。
ああ、中国を超えたかに思った、酒もまったくの手作りがええ。
おそらくは、南米のジャングルの部族の酒はピカ一でねえかや。唾液酒は別。
酒、酒、酒、次は韓国のマッコリだが、あんま良くねえのう。
日本人は日本のが、一番と体に収まるんでねえの。
おらは、生酒だなや。燗よか冷やじゃて、原酒、にごり酒、どぶろくも好みだて。
やっぱ、おらん越後、東北、北陸、信州、甲斐んのが特にええな。
ここで越後ん酒ん中で、どこがええらか教えますて、聞いてくらっしゃい。
県境の山奥んがええらよ。新潟市なんかの下流んよか、水が違うらて。
比べてみればわかっから、試してくらんしょ。
あー、こりゃこりゃ、酔ってくっと越後ん訛りが出てくるすけ、まあのう。
んでの、そいやった、おらん酒遍歴の流れやったら、そらこうらて。
養命酒で幕明け、マムシ焼酎で喝喰らい、ビールで苦さ知り、ウメ酒で悦を知り、
麦焼酎で酔わないええ酒を知り、ウイスキーでたまげ、泡盛で南国を知り、
中国酒で大陸浪人となり、ベトナム密造酒に唸り、やっと日本の生酒に辿り着いた、
ってこったて。
こいが、おらん酒遍歴ですて。酒、万歳。
小学校の頃から、薬用だから、まあいっかてな感じで、祖父が飲ませてきた。
当時、私はなんか良い匂いがして、体はポカポカするわで、薬かと思った。
その養命酒は毎日飲むのがいいらしい、祖父は毎日、肴は身欠きニシンでと。
そして中学校の頃からは、山で捕まえて来たマムシを漬けた、マムシ焼酎ときた。
私が風邪を引くと、上を裸にさせてから、口に含んだ焼酎を背中に吹きかけてきた。
それを飲ませもする。これは強い。生臭さが半端ではない、毒も残っているのでは。
野良仕事の合間にマムシを見つけると、喜んで捕まえて酒詰めするので、順次並んでいる。
何年も前のなんか、もう溶けかかっている。その方が、効果大なのだろう。
マムシ焼酎は御免である。後年、奄美や沖縄でハブ酒を飲んだのも後悔している。
高校になってからはビールである。父からだったが、苦くて一口で、よした。
婆ばに連れられて、蔵に入ってウメ酒を飲み出したのも、この頃か。
社会に出てからは、それは生ビールとかを、がぶがぶと飲むようになっていった。
それからは、麦焼酎、ウイスキーといったのか。沖縄に行くようになってからは泡盛か。
中国大陸に憑りつかれてからというもの紹興酒、白酒へとなった。
浙江省は魯迅の故郷、紹興の小店で買って飲んで悦に浸った。
それもあってか、中国の文化財の魔力にはまって「麦と兵隊」の世界へと入ってった。
マオタイ酒は初めは良かったが、もっとええ酒を知る。角さんを超えたわい。
数十回と派兵、いや旅を重ねるうちに、湖南省産の酒に出会う。毛沢東の地や。
後を引くは引くはで、まるで紅楼夢、金瓶梅の地に来たようじゃったわ。
わしは、マオタイなんぞは、もう飲まん。ええ酒が大陸には五万とあるわい。
なんか、だんだんと酔ってきた。酒池肉林、もっとええ酒はねえけ。
ああ、そうそう、ベトナムの山奥で百姓が作り売ってた50度越えのがあった。
村のかっちゃん、ばっちゃん達がの、自家製のを並べておったわ。
似たようなポリ容器に、でかでかと度数のみを書いていたな、40、50、60てっな。
いやこれが旨いのなんのってな、わしはこの密造酒まがいのに唸った。
ああ、中国を超えたかに思った、酒もまったくの手作りがええ。
おそらくは、南米のジャングルの部族の酒はピカ一でねえかや。唾液酒は別。
酒、酒、酒、次は韓国のマッコリだが、あんま良くねえのう。
日本人は日本のが、一番と体に収まるんでねえの。
おらは、生酒だなや。燗よか冷やじゃて、原酒、にごり酒、どぶろくも好みだて。
やっぱ、おらん越後、東北、北陸、信州、甲斐んのが特にええな。
ここで越後ん酒ん中で、どこがええらか教えますて、聞いてくらっしゃい。
県境の山奥んがええらよ。新潟市なんかの下流んよか、水が違うらて。
比べてみればわかっから、試してくらんしょ。
あー、こりゃこりゃ、酔ってくっと越後ん訛りが出てくるすけ、まあのう。
んでの、そいやった、おらん酒遍歴の流れやったら、そらこうらて。
養命酒で幕明け、マムシ焼酎で喝喰らい、ビールで苦さ知り、ウメ酒で悦を知り、
麦焼酎で酔わないええ酒を知り、ウイスキーでたまげ、泡盛で南国を知り、
中国酒で大陸浪人となり、ベトナム密造酒に唸り、やっと日本の生酒に辿り着いた、
ってこったて。
こいが、おらん酒遍歴ですて。酒、万歳。