パソコン美人におんぶにだっこ

パソコン相撲 入門

中国夜話 毛沢東異界漫遊記(二話) 周恩来と、孫文の話の巻

2021-10-15 00:24:22 | 小説

 孫文、近代中国の国父ここにあり。    
 この中国革命の先覚者がいなければ、毛沢東は在野のまま教師で終わったかもである。
 毛沢東18才の時、辛亥革命勃発、彼は居てもたっても居られなくなった。
 疾風怒濤の大地が揺れるなか、地元、湖南の革命志願軍に入隊した。
 清王朝300年、連なること専制政治2000年、それを終わらせようと。
 彼の心中や、幾ばくのものか……



毛沢東「周恩来よ、真面目な話をするぞ」     
   「わしの原点は、辛亥革命よ。地元、湖南の革命軍は入ってからだ」 
   「それからと言うもの、渦巻く大河の流れに乗って来た」
   「孫文こそが、中華5000年の偉人じゃ」
   「辛亥革命で清王朝を倒し、眠れる獅子を本当に起こしてくれたわい」
   「そうでなかったら、共産党、国民党、そんなん何もない」
   「欧米列強、日本なんかにまで侵食され、ばらばらよのう」
   「孫文がいて本当に良かった、彼こそが光だ」
周恩来「相当な思い入れが、おありですな。中国は眠り過ぎたんでしょう」
   「文明におごり、大陸の覇者を気取り、外国に食われててもですな」
毛沢東「この孫文がいなかったら、今のわしはいなかった」
   「もしかしたら、蒋介石もいないのではないかと思うでよ」
   「まったく違った世を、迎えていたんではとな」
周恩来「それだったら、私もどっかで、何してたんかい」
   「国土はますます食われっぱなし、小日本の侵食が止まりませんな」
毛沢東「清朝を滅ぼして本当に良かった、孫文様様じゃないかい」
   「ただ、良くも悪くも政治家のきらいがあったのう」
   「仕方なかったとはいえ、袁世凱に譲ったのはまずかった」
   「清王朝の残滓なんかに目をくれずに、自身が主席を続けば良かったのにのう」
周恩来「まだまだ、時ここに至らずですわ。この国は革命を何回も繰り返さんことには」
   「悠久の歴史に広大な国土、数億の民、それも小作や貧民の群れ」
   「毛大兄は、みんなそれらをまとめたではないですか」
   「新しい国を作ったんですぞ。孫文を越えてますぞ」
毛沢東「いやいや、彼の前ではただの教師じゃよ。孫文あっての、このわしじゃて」
   「あの方は、享年58やったなあ、早すぎるわいな、惜しいことよのう」
   「後、もう20年も生きておれば、どうであったかと、思うよ」
周恩来「毛大兄、それはそうでも、今の方が……」
毛沢東「ああ、そう思いたい、そう思おう……」




 歴史は、摩訶不思議なもの。
 ほんのちょっとの事で、歯車が変わり、また歯車そのものに食われたりもする。
 昔々に誰かがいたから自分がいて、そうでなかったら、いない。
 人の生は紙一重なり。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国夜話 毛沢東異界漫遊記... | トップ | 中国夜話 毛沢東異界漫遊記... »

コメントを投稿

小説」カテゴリの最新記事