通行規則
関所を通過するためには、各村ならば名主か檀那寺の住職が証明した手形を発行して
貰って持参する。関門は午前六時に開き、午後六時に閉めたが、村人民は特別あつかいを
されていた様である。
だが、関所の規則は、手きびしいものがあった。
一、此関所を通り後輩は当所の前にて、笠頭巾をぬぐべし。
乗物にて通る面々は、乗物の戸を開くべし 但女乗物は番の輩指図にて女に見せ通すべし事。
関所を通行するときは、何人たりとも関所手形がなければならない。特に女手形には、
発行者の印が押され女が手形を関所に提出すること。関所ではあらかじめ備え付けた印鑑と
引き合わせて、相違ないのを確かめたえで通行をみとめた。その手形の発行は武士ならば、
国許の留守居役、町人、百姓ならば郷村の名主である。
大戸関通行の手形の一例
差上申一礼之事
一、此者六人 内前髪壱人 川原湯迄罷越申候、御関所無相違御通被為
遊可下置候為後日一札依如件
安中城下谷津町
名主 喜 兵 衛 印
万延元申年七月十六日
大戸御関所
御番衆中様
此三人従上州高崎同国草津湯元差出申候、大戸御関所無相違
御通可被下候 以上
松平右京亮内 田 中 肋 之 進 印
弘化四末年三月廿九日
大戸御関所
御番衆中様
狩宿関所の場合、江戸より、草津川原湯へ入湯の女は、碓氷御関所の書替を以て相通し
申候所の女は、名主親類証文を以て相通す
つづく