小学3年生で太陽と地面の様子を学習する。日陰の位置と太陽の動き、地面の暖かさや湿り気の違い。
6年で月と太陽の関係を学習する。月の位置や形と太陽の位置について
中学3年で、太陽系と恒星について、太陽の様子、惑星と恒星(銀河系の存在を含む)
サイエンス雑誌をよくしっている小学生は 太陽の寿命100億年のことを自慢して教えてくれます。
どうやって100億年がわかったの?。突っ込みができます。今回は 太陽のはなし。
「天球上で、恒久的にその位置を変えない」と言う意味から名づけられた恒星は、「自分から輝いている星」と教えられてきました。これをもう少し詳しく「原子核融合反応をして、光やエネルギーを放出している星」と定義します。こうすると、我々の生命活動の全エネルギー源となっている太陽は、最も身近な恒星であることに気がつきます。
太陽は、宇宙の中ではごく平凡な恒星のひとつなので、太陽の研究は恒星の世界を知る上でも大変重要な学習となります。そこで、太陽すなわち恒星のエネルギー源=原子核融合反応、および、表面温度について学習しましょう。
図および表の説明は省略しますが、太陽は、半径が地球の 109倍、 質量が 33万倍、 そして、中心温度が 1500万K( 地球は 6千数百K)、中心気圧 2.4×1011(2400億気圧)(地球は36万気圧)、の超高温、高圧の巨大なガス球であることに注意しましょう。
1.太陽の核融合反応
太陽からは、水素(81.76 %)、 ヘリウム(18.17 %)、 酸素(0.03%)、 マグネシウム(0.02%)など、70以上の元素と20種ほどの化合物が発見されていますが、その主成分は水素です。
さて、太陽の中心部は超高圧で1500万Kを越える高温になっているので、水素の原子核は下図のように反応して高エネルギーのγ(ガンマ)線を放出します。この反応を p-p反応(プロトンープロトン反応)と言います。(太陽はこのp-p反応の他にC-N-O反応もしていますが、今回は省略します)
結果的に、4個の水素の原子核が融合してヘリウムの原子核になるのですが(41H→4He)、この時ほんの少し質量が減っています。
これを計算してみましょう。
水素の質量 1.0079u
〃 4個の 〃 1.0079×4 =4.0316u
ヘリウムの質量 -) 4.0026u
P-P 反応の結果 (4.0316 -4.0026) 0.0290u
即ち、4.0316uの水素が完全にヘリウムに変換すると、0.0290u だけ質量が減ることになります。( これを質量欠損と言います) 従って、1gの水素からは 4.0316 …… 0.0290
1(g) …… X(g)
∴ X=0.0290÷4.0316=0.007193(g)
の質量が欠損してエネルギーに変わったことになります。
単位を㎏に直して表しますと、1㎏の水素からは 0.0072 ㎏の質量が欠損しエネルギーに変わることになります。
さて、相対論によりますと、質量mkgの物質は、 m・c2 ジュール(cは光速度=3.0 ×108m/s) のエネルギーを持っていますので、 水素1kg あたりの欠損した質量 0.0072kgは、0.0072×(3.0 ×108 )2 =6.48×1014 すなわち、約 6.5 ×1014 ジュール のエネルギー分になります。従って、太陽がすべて水素からできているとして、 その質量を 2.0 ×1030kg とすると、 太陽がその水素をすべてヘリウムに変換すれば
6.5 ×1014 ×2.0 ×1030 =1.3 ×1045 ジュール のエネルギーを一生かかって放出することになります。
ただし、この P-P反応は太陽の中心部のみで起こっているので、水素すべてがヘリウムに変換されるわけではなく、 実際にはこの半分程度と見積もられています。
2.太陽の寿命
太陽が一生かかって放出するエネルギーを計算しましたが、別の計算から太陽が1年間に放出しているエネルギー量は、1.2×1034 ジュール と分かっています。従って太陽が誕生してから燃え尽きるまでは、
(1.3 ×1045 )÷(1.2×1034 )≒1.0×1011 、すなわち、約1000億年かかることになります。
しかし、先に書いたように、核融合は中心部にしかおこらないので、太陽の寿命も 10 分の1 ほどとひかえめに見積もって、
1000億年×(1/10)=100 億年 これが太陽の寿命でなのです。
太陽は、誕生以来すでに 50億年が経過していますので、残り50億年の命となります。
*細かい計算とおおざっぱな見積もりとが一緒になって太陽の寿命が推定されました。不変のように思われる太陽や星に寿命があることが理解できただけでも面白いと思います。もちろん、太陽の寿命とともに地球も終わりです。
左図は、各波長のエネルギーの強さ(放射強度)と波長との関係を示しています。
ウイーンは、放射強度の最大の波長(最強波長=λ)と放射物体の表面温度T K との間に λ・T=0.0029
λ; 最強波長(m) の関係が成り立つことを示しました。(ウイーンの変位法則)
太陽は、いろいろな波長のエネルギーを放射していますが、太陽の最強波長λは、5 ×10-7m なので、上式に代入すると
T=0.0029/(5×10-7 )≒5800K
すなわち、約6000Kとなります。
この法則は、恒星の表面温度を求める時にも使われる大切な式です。
私達がものを見る時、その表面の光の波長の中、最も強いものを認識します。緑の葉は、太陽光線の中、緑の波長の部分を最も強く反射しているのです。
太陽は 5×10-7 付近、すなわち黄色の波長が最も強く出ているので、太陽の色は黄色と呼ぶのです。でも、実際は地球大気の影響もあって、昼間の太陽は白く、朝・夕方の太陽は赤く、また大きく見えます。
参考図書;新地学(文英堂)、総合地学図録(数研出版)、チャート式地学(数研出版)、その他
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