スズラン(スズラン科(APGⅡ分類体系))
高等小学読本巻一の「西比利亜鉄道」の中に“谷百合”と植物名がある。
この草の英名の“リリー・オブ・ザ・バレー”を直訳したものだが、この谷百合にかみついた学者がいる。
鈴蘭とか君影草という立派な和名があるのに「文部省は何を苦しんでこんな直訳名を用い、旧来の和名を放棄するのか」と
牧野冨太郎氏で『随筆草木志』に述べている。
スズランはユーラシアの温帯に広く分布するが、北米ではアパラチアン山系の一部にみられるにすぎない。
兵庫県では但馬の標本があるが詳細は分からない。
「生きている大和川」の調査の時に奈良県のズズランの自生地を訪問した。
吐山(はやま)スズラン群落だ。
日本では、おもに中部山岳地帯以北にあり、北海道に分布している。
発見当時、奈良県の吐山では大きな群落が成立している分布の南限地帯として貴重であるため,天然記念物に指定された。
庭などで見られるズズランはヨーロッパ原産のドイツスズランで、花の茎が長く、葉よりも上に花をつける。
吐山のスズランは野生の在来種で、花の茎が短く葉の下に花がつくのが特徴です。葉に隠れてひっそりと咲いていま
北海道ではアイヌの人たちにチロンノプキナ(狐の草)とよばれ、白樺林が似合うこの花も、乱穫され、ずいぶんと少なくなった。自生地は、平取町や豊富町(サロベツ原野)、恵庭など、ごく限られた地域になっている。
奈良県がスズランが自生する南限地とされていたが、その後、熊本県の波野高原などでも発見された。
阿蘇市波野(旧波野村)でスズラン自生地発見 (『波野村史』p.47)
北海道などで多く見られるスズランの自生地が阿蘇市波野(旧波野村)で発見されたのは、昭和49年5月のことです。当時の「熊本日日新聞」(昭和49年5月27日)には、次のように報じられています。
「スズランが密生 波野の原野で発見 北海道や本州中部以北の高原にしかないといわれるスズラン自生地が阿蘇郡波野村の原野で見つかった。同村では、この小さな鐘のような花と、さわやかな香りを持つ北国の植物を育てたいと保護策を検討している。スズランはスズラン科の多年草で、別名をキミカゲソウともいう。日本では、北海道や中部以北の高原に自生しているが、南国九州で自生しているのは、きわめて珍しい例といわれる。阿蘇地方では昭和45年春、阿蘇郡一の宮町の北外輪山ハイランド牧場で自生地が見つかっており、波野村は2番目。同村の自生地は標高約800mで、農業Yさん(50)の私有地。5平方メートルほどの広さに密生している。」https://kumamoto-museum.net/blog/archives/chiiki/1113より
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