カイツブリ
にほの海照る月かげの隈なくば八つの名所一目にも見ん(良寛)
八景が一目で見渡せる月夜を読んだ良寛の歌であるが、「にほの海」とはどこの海かご存じだろうか。
漢字では「鳰(にお)の海」とかき、「鳰」は和製漢字で、「水に入る鳥」を意味し、ニホとはカイツブリの古名。
そして「鳰の海」とは琵琶湖のことで、琵琶湖には古くからカイツブリが多かったのかもしれない。
この時期、琵琶湖の近江八幡の水郷巡りのさいに、カイツブリの親子がみられるとか。よく、カルガモと間違われることがあるが、カイツブリは潜水は得意だが、歩くのが苦手。
ヒナは自分で潜って餌をとれるようになるまで、親の後をおっかけをする。ごく小さいときは親の瀬に乗って移動したり、羽の下にもぐる様子がみられる。水郷めぐりでは、その様子が見られるの人気という。
しかし、いつも見られるとはかぎらないそうだ。
カイツブリの巣も独特で、「鳰の浮巣」とよばれるように浮く巣をつくる。
水草の枯れた茎や葉などをあつめてアシなどの茂みの間に作る。水上に浮くが流れ出さないように移動しないが、水量によって沈まないように上下には移動する。
俳句では「鳰鳥」カイツブリは冬の季語だが、「鳰の浮巣」は夏の季語になる。
たとえば、松尾芭蕉「さみだれの鳰の浮巣を見にゆかむ」 夏のカイツブリの様子を芭蕉は歌っている。
ちなみに、カイツブリは滋賀県の県鳥に指定されている。
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