昨年、環境講座をおこなったとき「里地と里地里山はどうちがうのか」という質問をうけた。
里山という用語は、四手井綱英氏が、昭和30年代後半に、「専門用語で農用林と呼ばれていた農家の裏山の丘陵や低山地帯の森林を指し、奥山との対比を意識し里山」という。阪本寧男氏は、「人里近くに存在する山を中心に、隣接する雑木林・竹林・田畑・溜め池・用水路などを含み、人びとが生活してゆく上で様々な関わりあいを維持してきた生態系」をさす。
「里地里山」は環境省が定義している。
まず、里地だが「雑木林やマツ林などの二次林、つまり薪炭林や農用林、加えて採草地と限定した上で、セットとして伝統的農村景観を構成してきた里山・農地・集落・水辺を含めた全体」をさす。
環境省の『日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)』という報告書に、「里地里山」という言葉を使った。
環境省の定義によると「都市域と原生的自然との中間に位置し、様々な人間の働きかけを通じて環境が形成されてきた地域であり、集落をとりまく二次林と、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成される地域概念である」
地域全体を含めた活動ということで、里地里山保全活動というべきかもしれない。
当会が活動する場所はどんな場所
- 形状
低山地の傾斜地に、樹林地(里山)があり、谷筋に水田が広がる。
- 植生
里地里山の二次林はコナラ林とアカマツ林であるが、活動地の半分はスギ、ヒノキの植林地となっている。常緑樹がめだち、高木はソヨゴ、中低木にはサカキ、ヒサカキ、イヌツゲなど見られる。
(3)立地
都市と山間部の中間地域。過疎化・高齢化の進行によって集落の機能が急速に衰えつつある。
保全活動
林内の日照確保や樹木間の競争緩和(樹木密度の管理)を目的として、下刈り、つる切り、除伐、枝払い、落ち葉かきなどの作業を行う。
野生生物の保護・生物多様性の保護保全
活動地域の貴重種の保護保全および生物多様性の保全を行う。
活動日
毎月第一日曜を定例活動として、整備、保全を進めている。
当会では1997年(平成 9 年)から活動を始めた。地域のため池の保全対策をはじめ周辺私有地の利用と山林の整備について所有者と協議をおこない、協力を得られて活動している。
2001年には、 この地域に生息する希少種(昆虫:ヒメタイコウチ、ヒメヒカゲなど植物:トキソウ、サギソウなど)の生息保全保護対策が軌道にのった。
2002年(平成14年)からは野生生物を調査研究する会、地域住民、ナチュラリストクラブが里山保全に協力して取り組んでいる。
成果は、画像は2022年4月にみられた動植物。1997年の活動をはじめた時には見られなかった生き物だ。
下刈り、つる切り、除伐、枝払い、落ち葉かきなどの作業の結果見られるようになったものだ。春夏秋冬それぞれの季節に貴重なものが戻りはじめている。
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