チガヤ
イネ科。チガヤは東南アジアなど広く分布し、日本では北海道から沖縄まで日本各地に分布します。
最近チガヤを、 茎の節に毛があるフシゲチガヤと、 毛の無いケナシチガヤの2つの変種に分けるようになりました。 普通によく見られるチガヤはフシゲチガヤ(節に毛があり)です。二つの花期にもちがいがあり、フシゲチガヤの花期は5~6月で、ケナシチガヤ(節に毛がない)は花期 3 ~4月頃です。ケナシチガヤはやや湿った場所に多い傾向があります。
チガヤは古くから身近にあった植物で、生活で利用されていました。
近くでは田植えの時期にチガヤの穂をなめておやつ代わりにしたと先輩から聞いたことがありました。
万葉集にも次のような歌があります。
「わけがため わが手もすきまに 春の野に 抜ける茅花(つばな)そ 食(を)して肥えませ」(万葉集)
「あなたのために春の野で 手を休めずに摘んだつばなを食べてどうぞ肥ってください」という意味。
「つばな」とはチガヤのこと。チガヤの若い花序は、口に含むとほのかな甘みがあり上のような歌がよまれたのでしょう。
また、チガヤは、薬効があり春にでる花穂は食べると元気になるといわれ、特にチガヤの根は小児の滋養強壮に良いとして、江戸時代には、百姓の子たちが「つばな売り」をしたといわれています。
葉は葉先が固く鬼をも刺すということで、節分のヒイラギ同様、魔除けにも用いられています。
無病息災や厄除け、家内安全を祈願する行事の「茅輪(ちのわ)くぐり」の茅輪はチガヤの葉を使います。
5月の節句を祝う粽(ちまき)も、チガヤの葉で包んだので「茅巻き」。今はササの葉をつかっていますが。ちなみに端午の節句に「ちまき」を食べるのは西日本で、関東では柏餅だとか。
金子みすゞはチガヤが綿毛になったところを詩に読みました。
「つばな
つゥばな、つばな、/白い、白いつばな。/
夕日の土手で/つばなを抜けば、/ぬいちゃいやいや、/かぶりをふるよ。
つゥばな、つばな、/白い、白いつばな。
日ぐれの風に、/飛ばそよ、飛ばそ、/日ぐれの空の、白い雲になァれ。」
世界の侵略的外来種ワースト100になってしまったチガヤ
チガヤが侵入した73か国では、アブラヤシ、パイナップル、トウモロコシ、陸稲、サツマイモなどの作物の収量が半分以下になるなど被害を与えている。特に、原産地の一つでもある東南アジアでも畑で増えて、畑を放棄しないといけなってしまうとか。アメリカではクズに続いて侵略植物となっている。
日本ではいろいろ有用なチガヤでも海外では困りものだそうです。
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