この地を離れて
おもむくままに たどりつく
岸辺に
川に棹さす 船頭がひとり
大きな袋を わたしてくれる
その中に 持ちきれない情の塊
思いの 土偶を 投げ込み
身軽になって
小舟に飛び移ると
どこまでも静かな水面を
すべるように 小舟はすすむ
思いは その先へは
もう行かない
なにもかも かなぐり捨てて
たった一人の 自由人になって
残りの年を 数えたいだけなのに
空が 白んでくると
徐々に 現実の
時を刻む 忠実な時間の番兵が
やってくる
投げ捨てたはずの
情の塊、
思いの土偶のつまった袋を
背中に 押し付ける
こうして 一日が
仕方なく始まるのだ。
センニチコウ
花言葉 色あせぬ愛