ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

自作のフォームカッター

2016年02月23日 | 仕事場や道具
スタイロフォームなどの発泡プラスチックのカットに使う自作フォームカッターを紹介します。

基本的には乾電池とニクロム線を組み合わせただけの単純な仕掛けです。材料は以下の通りで、
全てホームセンターで揃えました。

  ・ニクロム線300W
   (電熱器用の交換部品で約200円 ワット数で線の太さが決まる) 
  ・単一乾電池と乾電池ボックス    
  ・ワニ口クリップコード  
  ・引張コイルバネ    
  ・12mm合板
  ・配線コード
  ・スイッチ


本体は、コの字形に切った合板に引張コイルバネを使ってニクロム線をL字形にピンと張ってあるだけ。
カットに有効なニクロム線の範囲は32cmほどで、そこにワニ口クリップコードを2ケ所挟み、乾電池
からの電気を流すとその間の部分が発熱します。
電源装置は、合板の上に乾電池、乾電池ボックス、スイッチを配線したもの。




ニクロム線の温度は、乾電池の数を増やすと上がり、またワニ口同士の間隔を狭めても上がるので材料の
大きさに応じてその辺を調整します。ニクロム線が材料に接する範囲が長くなればその分温度を上げる
必要があり、このカッターでは最大の約30cm幅で切るのに電池10本(15V)が必要になります。
また、カットする発泡プラスチックの密度が高くなればなるほど切れにくくなります。

これと同じ程度の市販のフォームカッターは6万から10万くらいします。また、乾電池の代わりに100V
電源のスライダックという直流変圧器を使えば便利ですが、1万以上します。私はこのカッターを
たまにしか使わないのですが、乾電池でも結構長持ちするのでこれで間に合っっています。
成型用の型のベースを作るのに大変便利です。


フォームカッターを作業机にFクランプで固定した上で、カット用のテーブルを
セットした状態。Fクランプを引っ掛けるための木のブロックが本体にねじ止め
されている。


フォームカッターの向きを変え、机との間に必要な厚みの板を挟んで
高さを調整すれば、材料を好きな厚みにカットできる。









「底メジャー」の改良

2014年02月11日 | 仕事場や道具
以前紹介した「底メジャー」を改良。木の棒がスライドする部分の方を作品の中に入れることではるかに測り易くなった。底の厚味分だけ棒が上に持ち上がり、パイプの上端の位置で棒の目盛りを読む。この場合一目盛り5mmなので約7mm。



以前はアルミ棒の方を中に入れていたので作品に跡が付き易く、しかも目盛りはパイプの下端にあるので読み辛かった。
どうして最初に気が付かなかったのか、と思う。


轆轤のかめ板について

2013年10月10日 | 仕事場や道具
僕が関わっている陶芸クラブで新たにロクロのかめ板が必要になった。このクラブの講師の先生のリクエストは底の平らな大皿を引くためのかめ板ということで写真の八角形のものを作製した。この形状は先生に教えていただいた形なのだが、下駄の足に相当する部分は、四角から八角にするために切り落とした三角を使うので材料取りに無駄が無い。一般に販売されているかめ板は丸が普通だが昔は作りやすい八角形が普通だったそうだ。


さて、そうこうする内にフェイスブック友達のKさんが使っているかめ板を知ることとなった。これはものすごくシンプルでただの正方形で足が無い。ロクロのテーブルとの固定は、テーブルにドーナツ状の粘土をひいて上面はシッカリ水平を出し、そこに板を押し付けるだけ。実際に作って使ってみるとこれで十分ではないか。クラブの先生によると、昔のかめ板は一枚板だと湿気で反りが出るので板目を異なる方向に複数組み合わせ、それを繋ぎ合わせるためにも裏に足を付ける必要があったとのこと。板とテーブルを固定するのに足は無くてもよかったのだ。以前買った陶芸の本を2冊ひっぱり出してみたらどちらもかめ板は足が無く、テーブルへの固定はせんべい状の粘土を3点置いていた。市販されているものには足が付いているが、足の無いものを使っている陶芸家は結構居るのだ。


ところで、僕が自宅で使っているかめ板はアメリカ方式だ。これは大変に便利。その特長は、1.板の取り付け取り外しが簡単で水平出しが要らない 2.取付に粘土を使わないので後片付けが簡単 3.一度外してからまたテーブルに載せて追加の仕事が出来る
これはテーブルに小さなピンが付いていて、かめ板にピン用の穴があるだけ。こんなに便利でアメリカでは当たり前のものが日本で普及しないのは不思議に思えるが、その理由を推測すると日本では伝統的に足付きのかめ板を使って来たのでロクロを教える人がアメリカ式を使ったことが無いこと。そして日本で販売される電動ロクロにはピンの無いテーブルがセットになっていて、ピン付きのテーブルは後から追加で買わなければならないためだと思う。ピン付きテーブルはシンポ製で5枚のかめ板が付いて21,000円する。
ちなみに僕のテーブルはピン無しのものをピン付きに自分で改造したもので、円筒形のアルミの削り出しと六角穴ボルトに蝶ナットで数千円で出来る。かめ板も12mm合板で自作。アメリカのかめ板の素材はプラスチックや木材に似た風合いの合成材で1枚400~1,000円くらいと安い。日本のかめ板は1枚2,000円くらいするのでプロは大抵自作しているようだ。アメリカはプロも既製品を使うので量産効果で安くなるのではないかと思う。

さて、知り合いのKさんのカメ板に話は戻るが、いっそのこと固定用の粘土を板の裏側には付けないで、外側四ケ所だけにして試してみるとこれでも問題ない。板はテーブルに直に置くので水平出しが要らなくて楽だ。アメリカ式と日本式の中間のような方式で、後片付けも比較的簡単。この方式はテーブルよりかめ板がある程度小さくなければならないが、写真のものは一辺が21cm。まあ、相当大きなものでなければ大抵のものはこれでこと足りる。ピンの無い日本のテーブルにはこれが向いているのではないかと思う。ちなみに、固定に使った粘土は500gで、量が少なかったり土が軟らかかったりすると板がずれるので注意が要る。ちなみに、このやり方で1kgの土は問題なく挽けた。2kgでも挽けたがこの辺が限界のようだ。より強力に固定するには、ドーナツ状の粘土を少し板からはみ出す位の径にして板を押し付ければ良いことも分かった。


ロクロ作業の腰痛対策

2013年09月18日 | 仕事場や道具

ロクロ作業は常に前かがみなので腰痛が起こりやすい。僕の場合は、30分ほどロクロをやっているとが次第に腰椎の左側辺りがジーンと痛み出す。そこで考案したのがこの椅子。昇降式の椅子のコロを外してある。背もたれは外し、替りに小型のパッドを取り付けてある。これは体を前傾した時そこに上半身の体重を預けるためのもの。これによって背すじをあまり曲げずに前傾する事ができる。また、作業に応じて椅子を昇降させる事でも背すじの曲げを最小限にする事ができる。ロクロの様々な作業を考えると昇降の高低差がもっと欲しいところだ。特に低い側が欲しい。

以前テレビで、ある腰痛持ちの陶芸家が立って挽くことの出来る特注の電動ロクロを使っていた。それは床下にモーターが設置されていて、1mを超える長いシャフトの先にターンテーブルが付いているという特殊なものだった。昔からロクロは、人がロクロに合わせて姿勢を色々変えながら作業する物だったが、人間工学の視点から考えるとロクロも椅子も作業に応じて高さをフレキシブルに調整できるべきだと思う。




キッチンスケール 注文したら

2013年09月13日 | 仕事場や道具
少量の粘土を量るのに使っているデジタルキッチンスケールが壊れてしまったので、今度はデジタルより壊れにくいと推測してアナログのスケールを買うことにした。ネットで調べてヤザワの2kgキッチンスケールを注文。届いた量りを箱から取り出してみるとなんと針は最初から真下の1kgを指している。『エーッ???』調整ツマミを廻しても1kgから500gに届いたところでツマミは空回りし、針はそれ以上動かない。これって、針を上下逆さまに間違って付けたんじゃないのと思う。結局、新しいものと交換してもらうこととなり、翌々日に新品が届いて最初のは向こうに送り返す。で、箱から新しい量りを取り出したらなんと、またも針は真下を向いている。で、もう一度商品を交換して3個目でやっとまともな商品が届いた。
ヤザワコーポレーションに無料電話は無く、この不具合が信じられないという様子の担当の女性と長々とやり取りをして大いに時間と電話代を無駄にした。ま、運が悪かったということか。箱を見たらMade in Chinaとあったので、もしかしたら日本に敵意のある作業員の仕業かも知れない。毒入りギョーザよりはましと思うしかない。

ちなみに、30年近くキッチンで使っている量りはまん丸くて見た目は良いのだが、いかんせん持ちにくい。こういうものは手軽に出したり仕舞ったりし易くなければ困る。また、調整用のツマミが上皿を支える柱の後ろに付いていて使い辛い。その点このヤザワのスケールは真面目で使い易いデザインだ。