ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

スタイロフォーム型で作る花器

2016年02月24日 | 制作現場
陶芸で型作りと言えば石膏型が最も一般的ですが、私は雄型(中型)の場合には発泡
プラスチックの一種で住宅用断熱材などに使われるスタイロフォーム(発泡ポリスチレン)
をよく利用します。理由は、スタイロフォームは石膏に比べてはるかに安価で加工し易い
からです。


スタイロフォーム型で成型した花器 

-成形の仕方-
タタラを塩ビパイプなどに巻きつけて成形する方法と基本的には同じ要領でスタイロフォ
ームを使えば、パイプの様な円形の断面ではなく自由な形にすることができます。
この花器は、水平断面が水滴形で、横から見て少し「く」の字に折れ曲がっていますが、
それは割り型(型をいくつかに分割すること)にすることで可能となります。


厚さ50mmのスタイロフォームを2枚接着して100mmの厚さにし、輪郭線と分割線
(3分割)を描きます。縦の直線は後で説明する芯を入れるための線。


輪郭線に沿ってフォームカッターで切り出します。
(自作フォームカッターの詳細)


フォームカッターで輪郭線と分割線を切った後、小型カッターナイフの刃を長めに出して
表面を粗削り。刃をスタイロフォームに押さえ付けて弓状にしならせると、ある程度凹んだ面も
削れます。仕上げはサンドペーパーや網ヤスリで行います。作業を終えると周りは削りカス
や粉でいっぱいになるので、後に続く粘土作業のために掃除機できれいに掃除。分割線は
最後にカットします。


色々検討した結果、タタラをこの「く」の字の形状に沿わせて成形するには型を横にする
のが一番やり易いと考え、この様な台を作りました。型はステンレスの芯で串刺しになっ
ています。スタイロフォームに離型剤として片栗粉をまぶした上で、上からタタラを巻き
ヘラでなで付けてから下側で接着。


ある程度土が乾いてシッカリしたら台から串刺しのまま作品を外し、芯を抜いてから
スタイロフォームを両端から抜き取ります。予め用意した底用のタタラの上に乗せて接着。

-スタイロフォーム型の特性など-
   ・加工が容易
   ・軽量
   ・石膏より安価
       スタイロフォーム:
        183×91.5×5cm=83,723cm3約2,000円
        1辺10cmの立方体で約24円
       石膏:
        25kg=25,000cm3 約5,000円
        1辺10cmの立方体で200円
   ・雄型(中型)に適している。(細かな形状や大きく凹んだ形状は作り難い)
   ・石膏型に比べると多少粘土の離型がし難い
    離型には、抜き勾配があれば片栗粉を使い、抜き勾配が無い場合は新聞紙や布などを土との間に挟む
   
スタイロフォームを削り過ぎてしまった場合の補修には、石膏、水、速乾性木工ボンドを
1:1:0.6の割合で混ぜたものを使っています。継ぎ足したい部分に必要な量より少し
多めに塗り、半乾きの状態で削って仕上げ。完全に乾くとスタイロフォームより硬くなって
仕上げがし難くなりますが、水で少し湿らせるとまた削り易くなります。




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