世界的パンデミックを
アートの力で乗り越えようという
関係者の
熱い情熱を感じた2022年、
メトロポリタン、ポンペイ、スコットランド、リヒター、中之島美術館、茶の湯、東博150周年など…
(延期された展覧会が開催されたことも重なったが)
期待以上の展覧会が多かった
一年でした
2023年、見渡すと心を震わすような
美術展は少なく、
寂しい感じがしますが…
期待する展覧会、日本画は、
1.大阪の日本画
1/21〜4/2 大阪中之島美術館
4/15〜6/11 東京ステーションギャラリー
京都、大阪、江戸の三都の中で大阪の美術が取り上げられることは少ない
江戸時代幕府直轄の経済の中心地であり商人の町である大阪は、京都とは異なる独自の文化美術風土があるようだ
戦前まで、東京は日本美術院の横山大観、京都は円山・四条派を継ぐ竹内栖鳳、大阪は北野恒富を中心に画壇を形成していた
大阪画壇は、町人文化に支えられ伝統にとらわれない自由闊達な表現が特徴
特に、北野恒富は“悪魔派”と呼ばれたドギツイ表現から、浪速情緒に溢れる美人画への変化に驚く
どれも実物は初見なので楽しみです
五月雨に烟る画面が“俗”に落ちるキワを救う
山崎豊子が「ぼんち」に描いた船場文化を見るようだ
北野恒富、島成園、菅盾彦、矢野橋村など50人150点以上の作品が集う
2.甲斐庄楠音の全貌
2/11〜4/9 京都国立近代美術館
7/1〜8/27 東京ステーションギャラリー
“あやしい絵”とか“大正デカダンス”などの企画で散発的に出品されることが多い甲斐庄楠音の作品
「横櫛」だけじゃない甲斐庄楠音の画業とともに映画関係資料など全貌を見ることができる
3.特別展 東福寺
3/7〜5/7 東京国立博物館
10/7〜12/3 京都国立博物館
東福寺の画僧で「画聖」とも称される吉山明兆(きつさんみんちょう・1352〜1431) の「五百羅漢図」の修復完成を記念として開催
明兆は、鎌倉・室町水墨画家の代表6人(黙庵・可翁・明兆・周文・雪舟)の一人
「五百羅漢図」は、南宋の林庭珪・周季常という絵師が12世紀後半に全100幅が制作され、82幅が大徳寺に伝来した(12幅はボストンとフリーア美術館所蔵、6幅は紛失)
1幅に5人の羅漢(最高位の僧)の僧院での儀礼や生活が描かれている
東福寺の「五百羅漢図」は、大徳寺伝来を原本として、明兆が1幅に10人の羅漢を描き50幅を制作
東福寺に45幅、根津美術館に2幅、3幅は復元、東福寺展で全50幅を展示
絹本着色 縦174cm横89.9cm
修復された色彩豊かな全50幅が揃う「五百羅漢図」は壮観だろう
国宝 無準師範像 南宋(1238年)南宋絵画の至宝
無準師範(むじゅんしはん1177〜1249)南宋の大禅師で円覚寺開山の無学祖元、東福寺開山の円爾の師
絵画にも優れ、弟子に牧谿がいる
また、無学祖元の弟子高峰顕日の門下には夢窓疎石が繋がる
この画一点だけでも行く価値がある