英諜報部は、90年代中盤まで国家的地位を有さず、事実上、議会の無監督下で活動していた。その後情報機関法は、1994年に英国議会により採択された。ここで初めて、「英国国外における外国人の活動及び意図に関する情報の獲得及び配布、並びに国家安全保障のための特殊作戦の実施」と、諜報活動の定義が与えられた。
英国の国家安全と経済繁栄の擁護、並びに重大な刑事事件の予防及び摘発に向けられる場合、独自の作戦を実施する特務機関の事実上存在した権限を承認した。その外、法律は、英国自体では犯罪と評価される場合ですら、その機能の遂行のために国外で実行される行動に対して、特務機関職員の責任を免除した。その管轄下において特務機関には、私生活への干渉、盗聴並びに住居及び業務用の建物への非公然侵入と関連した作戦を自己裁量で許可する権限が賦与された。
イギリス情報局秘密情報部 SIS (Secret Intelligence Service)
通常は旧称の『MI-6』がよく知られていて、(Military Intelligence section 6 - 軍情報部第6課)公式サイトに表示されているロゴマークも"SECRET INTELLIGENCE SERVICE MI6"となっている。
外務・英連邦大臣の指揮下にあり、英国国外での人による諜報活動(ヒューミント)を主な任務としている。組織としては外務・英連邦省の管轄であるが、外務大臣だけでなく首相と内閣府内の合同情報委員会(Joint Intelligence Committee,JIC)へも報告が行なわれ、これらの指揮を受ける関係にある。
本部はロンドン ヴォクソールにある。
ヴォクソール・クロス側から見たSIS本部ビル
ヴォクソール橋からテムズ川越しに見たSIS本部ビル
1.行政人事局
行政管理問題、並びに要員の選抜及び配置問題に従事している。
2.任務付与・情報製品準備局
外務省及び国防省から任務を受領し、入手した諜報情報を処理及び分析し、外向けの諜報文書を準備及び販売する。
3.地域監督局
いくつかの地域・地理作戦課から成る。
4.対外防諜・保安局
外国国家特務機関の工作を実施し、英諜報部の業務の安全を保障する。
5.特殊情報局
作戦業務実施の近代的な作戦技術手段を諜報部署に補給する。
英諜報部での業務は、権威あるものと考えられ、貴族と創造的なインテリ出身者を惹き付けた。通常、諜報要員は、外務省、軍、SAS空挺兵、警察の要員、並びに大学卒業生(主として、ケンブリッジ及びオックスフォード)から募集されている。
北朝鮮絶叫マシンに英外交官MI6=正恩氏と同乗
国防情報参謀部 DIS (Defence Intelligence Staff)
国防省に属する情報機関である。
1964年に海軍省、陸軍省、航空省が国防省に吸収された際に各軍の情報統括部門を統合して誕生した。
本部はロンドンのホワイトホールにある旧陸軍省ビル内にあり、要員は4,500人いる。
他の英国の情報機関と同様、インテリジェンス・コミュニティーに属しており、JICの情報要求を受ける。国防情報長官はJICの副委員長も務める。
全ての情報源を扱うが、イミント、シギントを主としており、偵察情報によるヒューミントも扱う。国防省の機関であるので予算は国防予算から支出される。
英国内だけでなく、ドイツやキプロスにも拠点を持っている。
イギリス情報局保安部 SS (Security Service)
国内治安維持に責任を有する情報機関である。
職員は約3,800名。
MI5(Military Intelligence 5、軍情報部第5課)として良く知られている。
本部はロンドン ミルバンク11番、テムズハウス。
司法警察権は有さないため、スパイやテロリストの逮捕は、ロンドン警視庁(スコットランドヤード)が担当する。
所管官庁は内務省。
冷戦終結と共に、テロ対策がMI5の重要な任務となった。1992年10月、F Branch(破壊活動対策)とK Branch(対スパイ)からT Branch(IRA対策)が創設され、IRA対策はMI5が主管することとなった。
かつて使われていたMI5のロゴ。プロビデンスの目が描かれている。
◇統合テロリズム分析センター JTAC (Joint Terrorism Analysis Centre)
2003年6月、国際テロの脅威の分析と評価のために、統合テロリズム分析センター(JTAC)が創設された。センターの定員は、100人であり、その内30人がMI5職員である。
JTAC所長は、MI5長官に従属するが、11省庁の職員が働く独立機構として活動している。JTACは、MI5のT Branchと密接に協力している。
JTACは、アメリカの国家テロ対策センター(National Counterterrorism Center;略称NCTC)、オーストラリアの国家脅威評価センター(National Threat Assessment Centre;略称NTAC)、カナダの統合脅威評価センター(Integrated Threat Assessment Centre;略称ITAC)、ニュージーランドの統合脅威評価グループ(Combined Threat Assessment Group;略称CTAG)と共に対テロ・ネットワークを構成している。
政府通信本部 GCHQ Government Communications Headquarters
イギリスのインテリジェンス・コミュニティーにおいてSIGINTを担当する諜報機関である。
秘密保持のため、組織上は外務省の機構に含まれ、本部長は外務次官となっているが、実質的には首相に直属する独立機関である。
英軍基地領域に位置する末端部署は、国防省の機構に編入されている。
本部はチェルトナム 職員数は、11,000人に達する。
ベッドフォードシャー州チックサンズ、ドイツ、ジブラルタル、トルコ、オマーン、キプロス、イースター島に無線傍受施設を有しており、電子スパイ網「エシュロン」に関して、アメリカの国家安全保障局(NSA)と密接な関係を維持している。
国家犯罪捜査局 (NCIS) National Criminal Intelligence Service
MI5と同様、内務省の管轄下にある。
インテリジェンス・コミュニティー
- 統合情報委員会(JIC)
- 外務省情報局機密情報部SIS(MI6)
- 内務省情報局保安部(MI5)
- 政府通信本部(GCHQ)
- 国家犯罪捜査局(NCIS)
- 国防情報参謀部(DIS)
イギリスの軍事衛星
2007年3月11日、イギリス政府の軍事衛星「スカイネット5A」を搭載したアリアン5-ECA型ロケットが、 仏領ギアナにある欧州宇宙機関(ESA)の宇宙センターから無事に打ち上げに成功した。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703121621
スカイネット5は32億ポンド(約7296億円)を投じて開発された次世代デジタル通信衛星。打ち上げ重量は5トン、 給電部の総出力は5kwで日本が2006年末打ち上げた通信技術試験衛星「きく8号」と並んで世界最大級の通信衛星となる。
これまで用いられてきた軍事通信衛星の5倍の通信処理能力を持つ他、衛星に対する通信妨害工作などにも対抗するために最新の防御装置を備えている。
英国も北大西洋条約機構NATO内でフランスとともに軍事衛星を展開し、フランスの軍事衛星エリオス(Helios)光学スパイ衛星とシラクス(Syracuse)通信衛星、その他いくつかの信号傍受実験衛星(クレマンティン(Clementine)、エッサイム(Essaim)、スリーズ(Cerise)など)、開発中の早期警戒衛星実験機スピラル(Spiral)とともに情報を共有している。
軍事衛星は大きく分けて偵察衛星と攻撃衛星の2種類がある。
偵察衛星はさらに早期警戒衛星と探索衛星の2種類に大別される。早期警戒衛星は上空35800kmにある静止衛星。どこかからミサイルが発射されると、そのロケットエンジンから出る赤外線を探知する。アメリカの場合は国防支援計画(DSP)衛星と呼ばれる衛星を打ち上げている。
探索衛星は通称スパイ衛星。他国の軍事施設や軍隊の動きを探索するもので、望遠レンズやデジタルカメラで撮影する光学衛星とレーダー探査をするレーダー衛星がある。きれいに写すことの出来る光学衛星は気象によっては撮影できない。そういう場面での撮影はレーダー衛星のほうが優れている。現在スパイ衛星の解像能力は非常に高く、高度数百キロから10センチ程度のものを見分けることが出来るといわれている。
軍事通信衛星は、特に秘匿する必要のある軍用通信を中継するための衛星 。 軍事気象衛星は、軍用の気象衛星 。 軍事航法衛星は、 GPSなどを運用し、航法情報を与える衛星 (NavstarGPS衛星) 。
そもそも光学衛星は日本のニコンレンズの存在があって実現されたものである。軍事衛星の解像度は極秘事項であるが、商業衛星で最高40センチまで判別可能と言うことから考えても、その能力は推測出来る。
現在独自の衛星打ち上げ能力を有する国は、
自国による初の人工衛星の打ち上げ順位 国 年 ロケット人工衛星 重量 (kg)
1 ソビエト連邦1957スプートニク-PSスプートニク1号83.6
2 アメリカ1958ジュノーIエクスプローラー1号13.7
- ウクライナ1992ツィクロン3ストレラ(x3, ロシア製) ?
南朝鮮、北朝鮮、ブラジル、パキスタン、ルーマニア、台湾、インドネシア、カザフスタン、オーストラリア、マレーシア、トルコなどの国は独自の打ち上げ能力を開発中である。南朝鮮はロシアの協力の下、2009年と2010年に人工衛星の打ち上げを試みたが、いずれも失敗している。 (南朝鮮の衛星打ち上げ目的は、北よりも日本の監視というから呆れてしまうほかない。)