戦略核兵器に限らず、ロシアではこの数年、国防省の発注した装備品が納期通りに納入されなかったり、納入数が発注数を大幅に下回るという状況が続いている。
例えば2009年度のロシア軍の発注のうち、数量・納期が守られたケースはわずか35%に過ぎなかった。
一例として、空軍が調達中の「Su-34戦闘爆撃機」の例を挙げてみる。Su-34を製造しているのはスホーイ社のノヴォシビルスク航空機工場(NAPO)だ。 空軍はNAPOと2006年に多年度調達契約を結び、2007年にまずは2機、2008年と2009年には各10機ずつの合計22機を調達する計画だったが、実際にこの期間に納入された機体はわずか3機に過ぎなかった。
しかも、NAPOはこれに対して違約金を課されるわけでもなく、すでに支払われた費用はそのままうやむやになってしまっている。
ロシア会計検査院の報告によれば、2005年から2008年までのわずか4年間で、兵器の平均価格は2倍に跳ね上がったという。いくらロシア経済が慢性的なインフレに悩まされているとはいえ、これは異常な上昇率だ。
ウラジーミル・プーチン首相もこのような実態には苛立ちを隠していない。装備調達についての会議の席上、価格値上がりについて報告を受けたプーチン首相は、その場に居たアレクセイ・クドリン財務相に今年のインフレ率の見通しを尋ねた。
クドリン財務相が「7~7.5%」と答えると、「だが、軍用装備の値上がりは5%とか7%、8%なんてレベルじゃないじゃないか。その何倍もだ。どうなってるんだ?」と怒りを露わにした。
以上 JB PRESS 2011.08.18(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/18974
風船兵器12 コストは100万円程度
風船戦車
張りぼて戦車
偵察衛星や敵の目を欺き、大軍団に見せる省コスト兵器。
現代の技術では生半可なニセモノはすぐバレてしまうが、ロシアではレーダーや赤外線センサーさえもあざむく、風船式の偽装兵器が開発されている。
ロシア連邦軍戦闘糧食
緑色のプラスティックトレーに、朝昼晩(24時間分)の食品が詰め込まれており、総重量はおよそ1.4Kg サイズは縦37Cm×横24Cm×厚8Cmとけっこう嵩張る大きさである。
このトレーにはご丁寧に取っ手まで付いているが、華奢で平べったいので持ちにくいのが難点だ。
しかしその薄さゆえ、片手で5個くらいなら一度に運べるので、纏めて運ぶ時には便利だろう。
実はロシアでは殆ど見分けの付かない民間向けタイプも出回っているので、注意が必要だ。
見分け方としては、個々のパッケージに赤い星をデザインしたロゴマークが入っているものが軍用品である。
付属ツール
スプーン
カンキリ?
ナプキン
ウエットティッシュ
防風マッチ
固形燃料・ストーブ
浄水剤
ガスマスク
GP5
拳銃
トカレフTT-33 非常に有名だが安全面が不十分で、安全装置がないという危険な銃。 トカレフの特徴としては、初速が極めて早くて、貫通力が強い。
ロシア国内というより輸出用に作られた拳銃。
ロシア軍は装弾数10発以上のオートマティックピストルを持てない。ロシアは、90年代半ばに9×19mm弾の殺傷能力に疑問を持ち、カートリッジを長くし、火薬量を増やした9×21mm弾をオリジナルで開発した。だが、軍のような大きな機関は交換に莫大なお金が掛かってしまうので、銃、弾の交換ができなかった。
自動小銃
AK-74 アサルトライフル(カラシニコフの1974年型自動小銃)
AKS-74
AK-74M
プラスチック製の折りたたみ式銃床を標準装備している。自動車化狙撃兵や空挺軍兵士、戦車兵などに支給する。
ソビエト連邦崩壊後、ロシアのAK生産拠点は民営化され、Izhmash社(イズマッシュ、イジェマッシ)として再出発した。イズマッシュ社は銃器の他に、オートバイや自動車を生産する機械メーカーとして存続し、現在もAKシリーズの生産、改良を続けており、様々なバリエーションが発表されている。
狙撃銃
ドラグノフ狙撃銃
スタングレネード(手榴弾)
空挺軍使用
ロケットランチャー
RPOは単発式で、折りたたみ式のトリガーグリップとフォアグリップを有する。個人携行時には背中に2基1組で携行し、携行者は他人の助力なしでRPOを取り出して射撃することができる。
RPOのロケット弾は工場での製造段階においてキャニスター兼用のランチャーに封入されており、ランチャーは発射後に廃棄される使い捨てである。なお、ロケット弾の品質保証期限は10年である。
RPG-7(対戦車用)
射出座席
エアーショーで絶体絶命のシーンで何度も安全に脱出させた射出座席K36DMの技術は世界最高水準の評価を得ている。ただし、その評価と裏腹に、ロシア製戦闘機の安全性が非常に低下していることを示している。
空飛ぶ教会
従来型のトレーラー式
戦争では「従軍聖職者」がほぼ必ず同行するが、ロシアでは従来のトレーラーを改良し空輸して落下傘などで投下出来る教会を開発している。
ロシア軍の空挺部隊のうち90%はロシア正教の信者なのだそうで、ロシア正教会の儀式では様々な道具が使われるためどうしても大荷物になる。ならば建物ごと持っていくしかないということで空中からの投入が可能なロシア正教会モジュールを設定、運用訓練を開始するということが発表された。宗教設備の他に発電機、空調機、冷蔵庫、各種マルチメディア機器などをワンセットにして降下用パレットに乗せるということで病院などとして支援拠点にもなりそうだ。
ロシアが軍人の給与を一挙に3倍も引き上げた。これまで食うや食わずだった軍人たちに民間企業並みの給与を与えることで、汚職へのインセンティヴを抑制し、士気を保つのが狙いだ。
そして、給与引き上げと並んでロシア政府が力を入れてきたのが、軍人の住宅供給問題である。実はソ連崩壊以降、軍人用住宅の整備は軍事上の一大問題であった。
住宅供給がなぜ、軍事上の大問題となるのか。原因の第1は、冷戦があまりにも急激なプロセスで終結したことによる。
米国のロナルド・レーガン大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長が冷戦終結を宣言したのが1989年で、同年中にはアフガニスタンとアジア方面(主にモンゴルとベトナム)に展開していたソ連軍主力が撤退を完了した。
さらに1991年にソ連が崩壊すると、ワルシャワ条約機構およびソ連構成諸国に駐留していたソ連(ロシア)軍も撤退を開始し、1994年にはグルジアや沿ドニエストルなどの一部地域を除いて完全に撤退した。
こうして、わずかな期間で大量の軍人とその家族たちがロシア本国へと引き揚げてきたわけだが、問題は受け入れ体制だった。
兵士たちは除隊させて故郷へ帰せばよいが、職業軍人である将校たちはそうはいかない。かといって冷戦終結とソ連崩壊の煽りで国防予算は激減しており、官舎の建設も進まない。
この結果、実に30万人もの将校およびその家族が帰国しても官舎を支給してもらえず、バラックやキャンピングカー、場合によってはテント暮らしを強いられることになったのである。
それに加えて、何しろ戦車も装備も古い。2008年のロシア軍側が撤収を行い、撤退完了を宣言しているものの、ロシア側が一方的に設けた領域内までしか軍を退けていないとのことで、欧米諸国との対立が続いた。この「グルジア紛争」において意外な(そして事情を知っている人には想定の範囲内の)事態がロシア軍側に起きていたことがNewYorkTimesによって伝えられた。ロシア軍が使用していた戦車の一種、T-62にガタが来て言うことを聞かず、敵(グルジア軍)との戦闘による消耗以上の損失を、故障で生じさせていたのだという。
事の起こりはロシア製の戦車T-62のトラブル。このT-62という戦車、115ミリ砲などを搭載し、初の実戦投入は1969年。一部はシリア軍などに売却された後、第四次中東戦争で使用されいる。また、アフガニスタンやチェチェン紛争などでも使われるなど、半世紀近く経った今でも現役車両として用いられている、いわば「ビンテージもの」。
撤収途中のロシア軍は(人員的にも器材的にも)疲労困ぱいの極地にある。完全稼動の状態なら数時間で通過できる距離の移動に、何日もかかってしまう。意図的な遅延でもなければ政治的要因からストップがかかってるわけでもない。単に搭乗している戦車や兵員輸送車の故障がひんぱつし、そのたびに部隊を止めて修理をしなければならないからだ。
グルジアへのロシア軍の侵攻は、各国にとってロシア軍の現状を知る(スパイ活動を行う)のにまたとないチャンスとなった。彼らが見た限りでは、ロシア陸軍の装備は旧式で、空軍の爆撃は精度が甘く、作戦行動はスピード感に欠け、さらに命令系統は中央集権的で非効率的でしかない。
ロシア陸軍の総合的な戦闘能力は西側のそれと比べれば低いかもしれない。しかし「グルジアの事態」に「対処」するには十分なものと判断されたため、投入されたようだ。また、ロシア陸軍兵士の多くはプーチン大統領の政策に従って程よく訓練された熟練兵が導入されており、臨時召集された徴集兵ではないことも確認されている。
ロシア軍の進軍で混乱状態となったグルジアの地域の多くで、略奪行為をとどまらせ治安を維持する行動がロシア軍に見られた。
要するに装備が古くて動くに動けないと言う状態が現実であった事になる。
http://www.nytimes.com/2008/08/23/world/europe/23georgia.html?_r=1
何よりも、メンテナンスの面で配慮に欠けるところが大きいのが気になるところ。元々ロシアは人海戦術的な思想を持ち、「100台投入して50台途中で故障しても、残り50台が目的地に着けばよい」的な発想が強い。今回のような「数で押しつぶす」的な作戦行動でなら何とかなるのかもしれないが、これが経済面(例えばガス田や油田開発)でも同様の考えで推し進めようとするのなら、さまざまなトラブルの原因になるだろう。
今回再度プーチンが大統領に就任し、原油や天然ガスなどの高騰など資金力を背景に、まず行ったのが兵員の給与を3倍に引き上げたと同時に、近代兵器への切り替えである。武器調達については、ソ連崩壊後の混乱で熟練工の流出や技術を若手に継承するのが思うように進まず、技術者の高齢化などによって予算を組んでも計画どうりに生産でき無い傾向にある。また、簡単なミスによる故障が増加している。今後は予算約20兆ルーブルの2020年までの国家装備計画に置いて、武器を大量に発注して近代化を進める計画だが、2020年から2023年に3年程度生産を緩めることも示唆されている。
★ロシア軍の総兵力は66万人?
『ヴェードモスチ』紙の2012年6月9日付け記事で、ロシア軍の定数は100万人のはずなのに実際の兵力は66万人しか居ないのではないか、という衝撃的な内容だ。
http://periscope2.ru/2012/06/10/6027/
ロシアでは2009年から徴兵の年限を2年から1年に短縮したものの、それに伴って徴兵の数がこれまでの倍も必要になってしまった。
2006年には25万人弱だった年間徴兵数が、2010年には56万人にも膨れ上がったのである。
ところが、このような大量動員はすぐに行き詰まる。2011年度の春期徴兵は21万8720人と前回から約8万人減、秋期徴兵では13万5850人とさらに約8万人も減少したのである。
これについてセルジュコフ国防相は、「これは契約軍人(志願兵)制への以降に伴うものであって問題ない」などと発言したが、どう見ても大嘘である。
徴兵を代替する契約軍人の数はまだまだ少なく、一気にこれほど兵士を減らせば軍の人員構成がめちゃくちゃくになることは明らかだ。
むしろ同じ記事の中でマカロフ参謀総長が率直に語っていることのほうが面白い(以下、引用して翻訳)。
「我々が徴募できるのは若年人口の11.7%である。このうち60%は健康上の理由で除外される。というわけで、我が軍はほとんど誰も徴募できないということになってしまっている」
マカロフの発言は、二つの問題を背景としている。
第一は、上記の記事中でも触れている通り、1990年代の混乱期にロシア人が子供を生むことを手控えたために2010年代に徴兵適格年齢に達する若者の絶対数が大きな谷になっているということだ。
具体的には、これまでは毎年70万人の男子が新たに徴兵年齢に達していたが、最近ではこれが55万人に落ち込んでいる。
したがって、そもそも徴兵対象者そのものが非常に少なくなってきているのだ。
この問題は以前から軍事評論家のゴーリツが指摘していたことだが、ついにそれが現実になりつつあると言える。
第二に、健康上の理由で60%もの若者が徴兵を免除されているという点だ。
一見するとロシアの若者が異常に不健康なように見えるが(保健行政にいろいろ問題があることもたしかだが)、いくらなんでもこれはちょっと考えにくい。
徴兵逃れの一環として偽の診断書を出すことが一般的になっているためと考えられるだろう。
ちなみにロシアの徴兵制はかなりいい加減で、徴兵委員会が対象者の自宅まで出向いて出頭令状を渡すが、対象者が家に居なければハイそれまでよというシステムである。
「要するに徴兵期間に家に居なきゃいいんだよ。ダーチャ(郊外の別荘)でのんびりしてりゃいいのさ」と、そんなことで徴兵逃れが出来てしまうなら、よほど愛国心のある若者か、貧しくて口減らししなければならないような家庭以外は徴兵に応じまい…