【ロシア戦略ロケット軍】 略称:РВСН
戦略ミサイル軍とも訳される。
2010年7月現在、戦略ロケット軍は、3個ロケット軍、11個ロケット師団から成り、ミサイル×369発、核弾頭×1247発を装備する。
戦略ロケット軍 中央司令部は、モスクワ郊外オジンツォフにあり、中央司令室は地下30mにある。
人員は軍人16万人および文民専門家5万人からなる。
ロシア全土に19個所の基地をもつ。
組織としては戦略ロケット軍司令部を筆頭に、ロケット軍や軍事アカデミー、教育部隊などがあり、さらにロケット軍の下には軍従属部隊や10個以上のロケット師団が設置されている。
さらにロケット師団の下には支援兵科および後方部隊、ロケット連隊が設置されている。
カルタリー基地には46基のSS-18戦略ミサイルがあり、地下25mに7つの発射管制室がある。1つの発射管制室で、約10基を管制。3交代制で24時間アラート。
大統領命令は、赤電話で中央司令室に直接伝達される。
当直司令官が、発射するミサイルの種類、目標を指示する。
- 第27親衛ロケット軍:ウラジーミル
- 第7親衛ロケット師団:ヴィポルゾヴォ。RT-2PM(RS-12M)×18発
- 第14ロケット師団:ヨシュカル・オラ。RT-2PM×27発
- 第28親衛ロケット師団:コゼリスク。UR-100NUTTKh(RS-18)×29発
- 第54親衛ロケット師団:テイコヴォ。RS-24×3発、RT-2PM2(RS-12M2)×18発
- 第60ロケット師団:タチシチェヴォ。UR-100NUTTKh×41発、RT-2PM2×49発
- 第98独立飛行隊:ウラジーミル
- 第31ロケット軍:オレンブルク
- 第13ロケット師団:ドムバロフスキー。R-36MUTTKh/R-36M2(RS-20V)×30発
- 第42ロケット師団:ニジニー・タギル。RT-2PM×27発
- 第102独立飛行隊:オレンブルク
- 第33親衛ロケット軍:オムスク
- 第35ロケット師団:バルナウル。RT-2PM×36発
- 第39親衛ロケット師団:ノヴォシビルスク。RT-2PM×36発
- 第51親衛ロケット師団:イルクーツク。RT-2PM×27発
- 第62ロケット師団:ウジュル。R-36MUTTKh/R-36M2×28発
- 第105独立飛行隊:オムスク
司令官 セルゲイ・カラカエフ中将(2010.6~) ロストフ高等指揮・技術学校出身
地上発射の戦略ミサイルを装備しており、潜水艦発射ミサイルは海軍の管轄下、戦略爆撃機は空軍の指揮下にある。
ICBM
- R-36M , Voivode , RS-20 , SS-18 , SATAN
1978に配備、多弾頭。
最新のMod-6は、1991/1に配備を開始。単弾頭。
液体燃料方式。ロケットサイロのハッチ 6m x 6 m 厚さ 2m
SS-18 では、人工衛星約6個の運搬が可能で、削減廃棄対象の弾頭を外し、衛星打ち上げにも利用されている。
全長 36.3m, ペイロード 8.8t, 発射重量 211.1t, 射程 16000km, CEP 500m,
- UR-100 , , RS-10 , SS-11 , SEGO
最新のMod-4は、1971に配備を開始。多弾頭(6)。
全長 19.8m, ペイロード 1.2t, 発射重量 51t, 射程 12000km, CEP 900-1350m,
- UR-100MR , Sotka , RS-16 , SS-17 , SPANKER
最新のMod-3は、1980/12/17に配備を開始。多弾頭(4)。
全長 23.9m, ペイロード 2.55t, 発射重量 72t, 射程 11000km, CEP 920m,
- RT-2 , , RS-12 , SS-13 , SAVAGE
最新のMod-3は、1974に配備を開始。単弾頭。
全長 21.13m, ペイロード 0.5-1t, 発射重量 50t, 射程 1500-1800km, CEP 1800m,
- RT-21 , Temp-2S , RS-14 , SS-16 , SINNER
1976/11に配備を開始。単弾頭。
全長 44.2m, ペイロード 0.94t, 発射重量 44t, 射程 9200-10500km, CEP 500m,
- RT-2PM , Topol , RS-12M , SS-25 , SICKLE
1998/12に配備を開始。単弾頭。
車輌搭載方式。発射指令車、通信車とセットで機能する。
当初の保証期間は15年。のちに18年に延長。
全長 21m, ペイロード 1t, 発射重量 45t, 射程 10500km, CEP 250-900m,
- RT-2UTTH , Topol-M , RS-12MR?? , SS-27
1997/12に配備を開始。単弾頭。
全長 21m, ペイロード 1-1.2t, 発射重量 47t, 射程 10500km, CEP 350m,
- RT-23 , Molodets , RS-22 , SS-24 , SCALPEL
列車搭載方式。18両編制、1列車に3基装備される。
1989/11に配備を開始。多弾頭(10)。
全長 23.3m, ペイロード 4t, 発射重量 104t, 射程 10100-10450km, CEP 500m,
- RSS-40 , Kuryer , RSS-40 , SS-X-26 ,
開発中止?
IRBM
- RT-21M , SS-20 , SABER
車輌搭載方式。
最新のMod-3は、1980/12に配備を開始。単or多弾頭(3)。
全長 17m, ペイロード 1.5t, 発射重量 37t, 射程 5500-7500km, CEP 450m,
プレセツク発射試験場。
発射試験は、ソ連時代には毎月実施されていたが、現在は年4回程度。
※CEP:半数必中界。弾道ミサイルの精度の方式で、発射ミサイルの半数は、この半径の中に着弾するもの。
支那に輸出したロシア製のトールM1
◆ロシア軍のトールM1動画(YouTube、1分17秒)。独特の発射方式がよく分かる。
http://www.youtube.com/watch?v=4c7pSRR3nFQ&search=china%20air
トールM1は1輌にミサイル・ランチャーと捜索レーダー、追尾レーダーを装備し、単体で完結する全天候型自走式防空ミサイル・システムとして開発された。HQ-17中距離地対空ミサイルは4発1組でランチャーに収められており、トールM1はこれを2基装備している。ランチャーは完全に密封されており、メンテナンス・フリーである。車体(GM569装軌式汎用車輌)はNBC(Nuclear Biological Chemical:核、生物、化学)防護システムと自動消火装置を備えており、またAPU(Auxiliary Power Unit:補助動力装備)を装備している。空輸は可能だが水陸両用とはなっていない。車体前部右側に操縦手席があり、砲塔部には車長とミサイル管制員が搭乗する。車体後部は機関室になっている。
砲塔後部に装備している三次元捜索レーダーはE/Fバンドで、最大48目標を探知しそのうち10目標を全自動で追尾して射撃データを取得する。最大捜索範囲は約35,000m。捜索レーダーから得られた目標の距離、高度、方位などのデータは、火器管制システムに送られて自動的に脅威評価が下され、最も脅威度の高い目標を判断する。ミサイル管制員はその目標(若しくは手動で選択できる)を追跡するコマンドを送り、砲塔前部にあるH/Gバンドの追跡レーダーが追跡を開始する。このレーダーはフェイズド・アレイ式で最大2目標を同時に追跡でき、耐ECM(Electric Counter Measure:電子妨害)性も高い。追跡レーダーの左上には発射したミサイル管制用の小型追跡レーダーが装備されている。また右上にはレーダー類を補間するために、TVカメラや赤外線捜索装置などからなる光学追跡システムがあり、敵の強力なECM下でも目標を追尾できる。光学追跡システムの最大追跡範囲は約20,000m。トールM1はシステムに火を入れてから約3分で戦闘態勢に移行でき、目標発見から5~8秒でミサイルを発射する事が可能。
参考資料(ICBM・IRBM)
http://www.b14643.de/Spacerockets_1/Diverse/RT-Missiles/index.htm