八咫烏神社 ときどき社務の備忘録

旧大和國宇陀郡伊那佐村鎮座・八咫烏神社から発信。
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宇陀市榛原山路の「千本杵餅つき」行事

2012年10月09日 | お祭り
10月8日、体育の日。
この日は宇陀市榛原山路の氏神様
都賀那岐神社・山路六柱神社の秋祭りが
伊那佐山の中腹の集落ともいうべき
山路集落にある遥拝所で斎行されました。

いつもどおり厳かにお祭りを斎行し、
その後の直会の席で面白いことを聞きました。

何でも毎年、この祭のあと
常楽寺の境内にある集会所で
「千本杵餅つき」の行事があるとか。

「よかったら神主さんも来なはれや」
とお誘いいただいたので
お聞きした時間におじゃましてみました。



やや時間あって、頃合いをみはからい
常楽寺へいってみると…
皆さん、出来上がってました(笑)

いつも祭のあと場所をここへ移し
ご馳走とお酒をよばれて威勢をつけて
「千本杵餅つき」の行事にのぞむようです。



ここの千本杵餅つき行事では
長い棒でただ突くようにつくだけでなく
仕上げに棒で叩くのです。

初めはぐりぐり突き、
途中から謡曲をうたって
仕上げに息をあわせて叩く!!



皆さん、飲んでますから
なかなか思うよう息があいませんが
それはそれで、めちゃめちゃ楽しそうです。
実際につくひとも、それを見るひとも
笑顔が輝いています。

僕も、たいへん厚かましいながら
「千本杵餅つき」に参加させていただきました。
そしてさらに、ド厚かましいながら
出来上がったお餅のご相伴にあずかりました。



物見的におじゃましただけなのに
えらい歓待をうけてしまい恐縮してしまいましたが
楽しかったー。
そして、美味しかったです!

さて、この「山路の千本杵餅つき」は
このあたりではよく知られた民俗行事のようで
地元の文献としてよく参考にさせていただく
大門貞夫氏「伊那佐の里」にも
【氏神さんの宵宮には
 当屋の家に村人や青年達が集まって、
 お供えする“ごく”を搗く。
 たいてい撫臼に杵で搗くものであるが、
 山路の村では千本杵といって、
 棒を持って一斉に搗くことになっている。】と載っていました。

ムラのひとに聞いたところによると
昔から「3斗3升3合のもち米を搗いている」らしく
「杵を棒でつく行為には、
 子孫繁栄と五穀豊穣の願いがこめられている」そうです。

…であるからこそ、おめでたい行事なのですね。

いつまでも
和気あいあいと続いていってほしい行事です。